[ オピニオン ]
(2017/6/26 05:00)
長年にわたる“領土争い”が、ようやく決着する。北方領土の話ではなく、東京湾に浮かぶ人工島「中央防波堤埋立地」のことである。
1973年にゴミ処分場として埋め立てが始まり、東京都江東区と大田区が互いに「全島帰属」を主張する。江東区は「東京中のゴミ受け入れに協力してきた」、大田区は「地元漁民が漁業権を放棄した経緯がある」というのが言い分である。
両区は話し合いによる解決は不可能として、地方自治法に基づく調停を7月にも申請する。埋め立て地には2020年東京五輪・パラリンピックのボート・カヌー競技会場「海の森水上競技場」が設けられ、五輪前に帰属を決めたいという判断があった。
五輪会場の経費見直しが浮上した昨年秋、本紙は同競技場の所在地を誤って江東区と表記した。その途端、大田区から「貴社の誤報道に大変困惑しています」という文章がFAXで送られてきた。素早い対応に、問題の根深さを感じた。
実はフジテレビ本社などがある台場地区も帰属争いの末、調停を経て82年に港、品川、江東の3区で分け合う形になった。調停案は3カ月後をめどに示され、両区は受け入れる意向だ。さて、競技場は江東区になるのか、大田区なのか…。
(2017/6/26 05:00)