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[ 科学技術・大学 ]
(2017/9/18 05:00)
ペニスは雄だけのモノではない―。2017年のイグ・ノーベル賞に北海道大学の吉沢和徳准教授と慶応義塾大学の上村佳孝准教授らの研究が選ばれた。両氏は、ブラジルの洞窟に生息するチャタテムシの雌がペニスをもち、雄に挿入して交尾することを発見した。雄と雌で交尾に対する積極性が逆転し、生殖器の逆転進化を促したと考えられる。雄らしさや雌らしさなど、性差について考えるきっかけとなり、進化の通説に風穴をあけた。
イグ・ノーベル賞は人を笑わせ、考えさせる研究を表彰する。17年のテーマは「不確実性」。一卵性の双子が自分と相方を目で見て区別できないイタリアの研究や、チーズに感じる嫌悪感をfMRI(機能的磁気共鳴断層撮影装置)で測定したフランスの研究などが選ばれた。
吉沢准教授らはブラジルとスイスの研究者と、ブラジルのチャタテムシの一属である「トリカヘチャタテ」を研究。雌雄で生殖器が逆転していることを発見した。この虫は交尾時に雄が精子と栄養価の高いカプセルを雌に渡す。雌の方が雄よりも早く次の交尾ができるようになるため、雌が性に積極的になり生殖器の進化につながった。
吉沢准教授は、「受賞論文は投稿時は結構、冷遇された。出版後はかなり注目されたが国内では総スカンだった。今回の研究は未知のものを掘り起こし記載するという、ごく普通の研究だ。その過程で大当たりを引いた。役に立つかどうかわからない最も基礎的な研究がなければ、その後の応用研究もないものと考えている」と話している。
(2017/9/18 05:00)