[ 商社・流通・サービス ]

首都圏のICT列車制御、JR東が海外方式導入を断念-国産「ATACS」推進

(2017/10/11 05:00)

  • JR東は地上と車両との間で無線を使い、運行管理・列車制御を進める(常磐緩行線をゆくE233系)

JR東日本が仏タレスと進めていた常磐緩行線への運行管理・列車制御システム(CBTC)導入を断念したことが分かった。欧州企業が国内の鉄道システムを手がける初の事例として注目されていた。今後採用する次世代の列車制御は日立製作所、三菱電機と共同で開発した無線式列車制御システム「ATACS(アタックス)」を軸に進めていく。

JR東日本は2020年の導入を目指してタレスと設計作業を進めていたが、技術課題と費用の面から実現困難と判断した。既存の運行管理システム「ATOS(アトス)」との整合性や鉄道無線で使う周波数の違いなどを克服するには設備投資がかさみ、費用対効果が見込めなかった。

CBTCは無線式列車制御と運行管理機能を併せ持つ国際規格対応のシステムで、海外の地下鉄など都市鉄道に普及する。自動運転に展開できる技術で、国内の鉄道システムメーカーも開発や海外での営業に力を注ぐ。国内の鉄道事業者は22年に東京メトロが丸ノ内線で導入する計画だ。

JR東は運行管理にATOSを使い続ける方針。列車制御のみを従来の地上信号方式から、地上と車両との間に無線を使うATACSに更新していく。

ATACSは、無線で線区の列車位置を把握して走行可能地点を各列車に送り、各列車が速度パターンを作成して運転する。

地上信号に比べて柔軟な列車制御が可能で、地上設備も減らせることから保守作業の軽減につながる。踏切の開閉時間も最適化できる。

JR東は鉄道総合技術研究所(鉄道総研)の技術を元にATACSを開発し、11年に宮城県の仙石線で使い始め、11月からは埼京線にも展開する。JR西日本も早期導入を目指してATACSをベースにした独自システムの試験を進めている。

(2017/10/11 05:00)

建設・エネルギー・生活2のニュース一覧

おすすめコンテンツ

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

電験三種 合格への厳選100問 第3版

電験三種 合格への厳選100問 第3版

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン