[ ICT ]
(2017/12/9 05:00)
ストリートビュー画像使い、国勢調査より手軽に
グーグルストリートビューの画像に写った駐車中の車をもとに、その地域に住む人たちの政治的傾向を人工知能(AI)が高い精度で推定-。こうしたディープラーニング(深層学習)のアルゴリズムを、米スタンフォード大学などの研究チームが開発した。
米国内に限った成果だが、人手を使い年間2億5000万ドルもの経費がかかり、データがまとまるまでに時間がかかる国勢調査に比べれば、かなり手ごろな手法と言える。しかも、リアルタイムに近い形で継続的に調査が行えるため、国勢調査の補完的な仕組みとして役立てられる可能性があるという。
研究チームではまず、自動車のネット販売サイトの画像をもとに1990年以降に生産された車のデータベース作りから始め、同じ車種であっても年式による外見の違いなどを区別できるようカテゴリー分けした。これをもとに、グーグルストリートビューで提供される全米200都市の5000万以上の2次元画像について、そこに写っている駐車中の2200万台の車の車種と何年モデルかを、深層学習のアルゴリズムが2週間かけて2657のカテゴリーに分類。分類精度は90%で、同じ作業を人間が実行した場合、1分間に6枚処理するとして15年間かかる計算という。
さらに、車の型とその駐車場所について、米国国勢調査データベースの「ACS」および2008年の大統領選挙での投票データとそれぞれ照合。人種・教育・収入・有権者の好みの政党を推定したところ、地域の車の車種と人口動態、それに政治信条にシンプルな相関関係があることを見出した。たとえば、その地域でピックアップトラックよりセダンの台数が多い場合、民主党に投票する可能性は88%で、逆の場合は共和党に投票する可能性が82%だという。
今回の研究は、コンピュータービジョンと深層学習の専門家で、スタンフォード大学AI研究所長でもあるフェイフェイ・リー准教授らと、ミシガン大学、ベイラー医科大学、およびライス大学の研究チームによる成果。米科学アカデミー紀要(PNAS)電子版に11月28日掲載された。
(2017/12/9 05:00)