[ オピニオン ]
(2018/2/12 05:00)
「朝令暮改が得意な人もいるくらいだから1年たてば言うことが変わっても決しておかしくない」。トランプ米大統領をそう評する人は少なくない。
選挙期間中から「アメリカファースト」を主張し、就任後は排他的な通商政策をとったり、強硬な外交政策を打ち出したりして米国内を分断したといわれる。ところが就任後初めての一般教書演説では、一転して議会や国民に融和と団結を呼びかけた。
完全撤退を決めたはずの環太平洋連携協定(TPP)についても今年になって「復帰を検討する」と発言。離脱すると発表した地球温暖化対策の国際的枠組み『パリ協定』に関しても「残留もあり得る」と語り“変節”をうかがわせる。
米国のTPP復帰やパリ協定参加は歓迎すべきことだ。ただ、復帰や残留の条件として「米国にとって有利になること」を挙げる。自由貿易や国際協調に基づく復帰・残留ではない点は、ある意味“一貫”しているともいえる。現にその後、具体的な動きはみられない。
変節の理由は今年11月の中間選挙にありそうだ。低い支持率に悩む大統領が、不信感を払拭(ふっしょく)しようと議会や国民に歩み寄りを求めたものといえよう。日本としては“変節の成功”を応援したい。
(2018/2/12 05:00)