[ オピニオン ]
(2018/3/21 05:00)
東日本大震災から7年となる11日を前に、防災科学技術研究所が2017年度成果報告会として「首都圏を中心とするレジリエンス総合力プロジェクト〜データ利活用が紡ぐ新たな価値の創造」と題するシンポジウムを東京で開いた。
レジリエンスは「復元」「弾力」を意味し、経済学や心理学などで幅広く使う用語だ。防災科研では「防災力」と意味づけし、さらに「forR」の略称の周知に努めている。「for」の前を、例えば「データforR」とすると「首都圏の防災力を高めるためのデータ」という意味になる。
このプロジェクトは1年ほど前にスタート。「多くの大学の社会科学、工学、理学系の先生、さらに民間企業が連携し、コラボレーションforRとして進めている」(プロジェクト総括の平田直東京大学地震研究所教授)という。
東京圏(1都3県)の人口は3500万人以上で全国の28%、首都圏全体では4200万人以上で同34%超を占める。これだけの人口、そして多くの企業や商業施設などが密集しているところに大地震が起きたらどうなるかは想像に難くない。
内閣府の首都直下地震対策検討ワーキンググループは今後30年間に約70%の確率で発生し、建物倒壊と焼失を合わせ最大約61万棟、死者は最大約2万3000人と推定している。
20年には東京五輪・パラリンピックが開かれ、海外からも多くの人々が東京に集まる。人の密度が高いところに大地震が起これば人的被害も大きくなる。地震の発生を止めることは難しいので、いかに被害を最小限にとどめるかが重要だ。
東日本大震災以降、企業では事業継続計画(BCP)の作成・見直しが進んだ。家庭でも耐震補強などに取り組む例がある。だが大地震の際には、こうした個々の対策だけでは不十分だ。地域全体で被害を把握し、迅速で的確な情報提供など災害対応能力を向上させなければならない。その意味で「forR」が早急に研究成果をあげることを期待したい。
(2018/3/21 05:00)
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