[ その他 ]

開発の舞台裏 中小企業優秀新技術・新製品賞(2)優秀賞−兵神装備

(2018/4/19 05:00)

非接触構造、高い衛生度

◆SIP対応ヘイシンモーノポンプNHLA型

兵神装備(神戸市兵庫区)が開発した産業用ポンプ「SIP対応ヘイシンモーノポンプNHLA型」は、食品業界が求める安全性に対する高い要求に応えた製品だ。食品業界はさまざまな液体を扱う。生産ラインにこうした液体を安定して供給するため、ポンプが脈を打たずに規定量を送り、しかも液体が変質しにくいといったポンプ性能が欠かせない。同社はこうした特性を備える一軸偏心ネジポンプ(PCポンプ)が強み。

食品の生産ラインはポンプ内を含め、高温の蒸気を使い滅菌(SIP)する必要がある。従来のPCポンプは構造上、SIPに対応できなかった。技術部第2グループの田中圭主務は、「顧客のニーズが開発のきっかけ」と説明する。

PCポンプは“雄ネジ”の役割を果たすローターと“雌ネジ”となるステーターが働き、ローターをステーターに差して液体を送る。従来のステーターは固定されている。この機構を見直し、SIPに対応した。具体的には非接着構造のステーターの周りに断面が台形の樹脂製ブロックを円筒状に配置、その外側に円筒状のゴム、さらに外側に円筒状の金属製ケースを配した。

通常は金属製ケースと円筒状のゴムの間に加圧した空気を入れて使う。SIP時は加圧空気を抜き、ポンプ内に高温蒸気を入れる。すると、蒸気の内圧と熱でステーターが膨らみ、ローターとステーターの間に隙間ができる。これによりポンプを運転することなく、ポンプ内全体に蒸気が行き渡り滅菌できる。

最も苦労したのは「樹脂製ブロックの適切な形状、寸法、配置を導き出す」(田中主務)こと。6人の開発メンバーはアイデア出し会議を頻繁に開き、試作からテスト、評価の速度を上げた。従来は平均2年かかる開発を、コストも意識しつつ10カ月でまとめた。

想定外だったのが「食品業界以外の引き合いも多い」(同)こと。今後は自動で多様な温度に対応するポンプの開発を目指しユーザーも拡大する。(大阪・大原佑美子)

(2018/4/19 05:00)

中小企業・地域経済2のニュース一覧

おすすめコンテンツ

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

電験三種 合格への厳選100問 第3版

電験三種 合格への厳選100問 第3版

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン