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社説/朝鮮半島の平和 北の核放棄の道筋、産業界も注視

(2018/4/30 05:00)

産業界は東アジアの平和を願っている。朝鮮戦争の終戦のみならず、北朝鮮の核放棄へ向けた確実な道筋が示されることを期待する。

27日、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長が韓国・板門店で会談した。同日、発表した「板門店宣言」に「完全な非核化」や朝鮮戦争の終戦宣言という目標を明記したことは、一定の評価ができる。

日本や米国政府をはじめ、諸外国はおおむね、これを歓迎している。ただ融和ムードに対する警戒感は強い。北朝鮮は核実験場の「廃棄」こそ決めたが、核兵器の放棄を検証可能な形で受け入れたわけではない。日本の産業界の受け止めも、現時点では「懐疑的」にとどまる。

北朝鮮が平和を望む「国」として国際社会に認められるためには、最高指導者の微笑だけでは足りない。国際常識に沿った外交関係と、政策決定の透明性が欠かせない。

今回の南北首脳会談で、北朝鮮の最高指導者が軍事境界線の南側に初めて入ったことは小さな一歩である。今夏までに開かれるとみられる米朝首脳会談で、金正恩委員長がどこに出向くかは、北朝鮮の路線転換の本気度を示すものとなるに違いない。日本が強く求めている拉致問題の解決もまた、メルクマールになるはずだ。

現状では休戦状態にすぎない朝鮮戦争が終結すれば、東アジアの安定に寄与することは間違いない。日本は米国や中国とは違い、朝鮮戦争の直接の当事国ではない。しかし東アジアに戦雲が立ちこめることを最も望まない国である。

これまで日本が主導してきた北朝鮮への圧力が、北の姿勢を変えたひとつの要因だ。今後は米国との連携を一段と強化し、圧力と対話の両面で朝鮮半島の平和に関与してもらいたい。北の完全な核放棄が実現するまで努力を傾ける必要がある。

産業界は平和を基礎とした繁栄を求めている。自国の戦火はもちろん、周辺国での緊張の高まりも通商を阻害し、経済活動の足かせだ。朝鮮半島の平和は、日本の利益でもある。

(2018/4/30 05:00)

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