[ 政治・経済 ]
(2018/5/11 01:30)
【ワシントン、ソウル時事】トランプ米大統領は10日、ツイッターを通じ、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との史上初の米朝首脳会談を6月12日にシンガポールで開催すると発表した。韓国の文在寅大統領と正恩氏が4月27日に合意した「板門店宣言」で明記された朝鮮半島の「完全な非核化」の実現に向け、具体的な方法や期限などで米朝が合意できるかが最大の焦点だ。
トランプ大統領は「われわれ双方とも(首脳会談が)世界平和にとって非常に特別な瞬間になるよう努める」と意義を強調した。
朝鮮戦争(1950~53年)、冷戦時代を通じて約70年にわたり敵対関係にあり、核問題で対立してきた米朝両国の首脳による歴史的会談となる。板門店宣言には朝鮮戦争の終戦を年内に宣言することが盛り込まれており、米朝首脳が分断状態の続く朝鮮半島に平和をもたらす道筋を示すことができれば、日本を含む北東アジアの安全保障体制にとっても大きな転換点となり得る。
トランプ氏は4月28日の安倍晋三首相との電話会談で「拉致問題を即座に解決するよう北朝鮮に促す」と約束しており、米朝会談でも拉致問題を提起する見通し。
米側は「完全かつ検証可能、不可逆的な非核化」を短期間で実現することを要求。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、核放棄の後に制裁を全面的に解除した「リビア方式」の適用を主張する。北朝鮮が非核化に向けた具体的措置を取るまで「最大限の圧力」を維持する方針だ。
一方、北朝鮮側は「段階的な措置」(正恩氏)による非核化を主張しており、制裁緩和や体制保証などの「見返り」を念頭に置いているとみられる。首脳同士の直接交渉で、非核化の解釈のずれを埋められるのか。「交渉の達人」を自任するトランプ氏の力量が問われる。
(2018/5/11 01:30)