[ オピニオン ]
(2018/12/3 05:00)
国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)が2日、ポーランドで始まった。2015年のCOP21で気温上昇を産業革命前の1・5―2度C未満に抑えるというパリ協定が採択され、翌年11月に発効した。今回は協定実現のための実施指針を決める会議となる。
一方、日本でも有力企業が参加する日本気候リーダーズ・パートナーシップ(J―CLP)が11月30日、「パリ協定に基づく長期成長戦略への提言」を発表した。J―CLPは「脱炭素社会へ先陣を切ることが自社にとって次なる発展の機会」と捉え、09年に設立された。現在、大企業を中心に93社が加盟し、加盟企業の売上高合計は約76兆円になるという。
J―CLPは脱炭素社会実現の方向性を共有し、長期視野での意思決定を行えるよう「脱炭素社会という目的地とそこに至る経路について明確で具体的なシグナルを発することが必要」として以下の5点を提言した。
(1)国民全体で気候変動への危機感を共有(2)「脱炭素ビジネス立国」をビジョンに掲げる(3)「2050年国内の温室効果ガス排出ゼロ」のゴールを明記(4)国内排出ゼロの経路として「脱炭素マーケットの飛躍的拡大につながるカーボンプライシングと公共投資による脱炭素インフラの整備」(5)(脱炭素ビジネスへの)「転換マネジメント」の仕組みを構築する。
一方、50年までに事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うという「RE100」に加盟した企業は世界で150社を超え、日本企業も13社に達した。J―CLPやRE100といった有力企業の集まりがこうした脱炭素のメッセージを発信することは産業界に大きなインパクトを与えることになるだろう。
脱炭素の流れは当然、大企業と取引している中堅中小企業にも波及してくる。中堅中小企業も“脱炭素時代”への備えを怠らないことが肝心だ。いち早く再生可能エネルギーなどで脱炭素に着手した企業がビジネスで優位に立てる時代となってきたのではないだろうか。
(2018/12/3 05:00)