[ オピニオン ]
(2019/8/30 05:00)
アフリカゾウ一家のお父さんは最近、海外ニュースが気がかりで夜もなかなか寝付けない。スイスのジュネーブで開催された象牙会議の結果が心配でならないからだ。
「すべての国で象牙の国内取引は禁止になるの?」。子象は父さんの様子が気になって尋ねた。すると、母さん象が父さんを気づかうように「そうなるといいんだけど…」と言って黙ってしまった。
絶滅のおそれのある野生生物の国際取引を制限するワシントン条約締約国会議が28日に閉幕。国際取引禁止後も象牙の国内取引を認めている国に対して「種の保存」の観点から「迅速な閉鎖」を求める議案の採択は見送られた。
閉鎖に反対する日本政府は「取引は厳格に管理され密猟とは無関係」との主張を貫いた。ただ、2020年の常設委員会までに、密猟や違法取引を助長させないための取り組みを報告することになった。
ニュースで採択の見送りを知った父さん象は、子どもの行く末が心配になり、こう諭した。「おまえのじいちゃんは群れ一番の立派な牙が自慢だったが、密猟者にやられてしまった。人間たちは、アフリカゾウの保護が大事だと言っておきながら、どうも当てにならない。いいか、保護区でも油断はするなよ」
(2019/8/30 05:00)