社説/進む民生技術の軍事転用 技術漏えい防止へ新ルールを

(2019/10/24 05:00)

飛行ロボット(ドローン)や人工知能(AI)などの分野で、民生技術と軍事技術の融合が進展している。日本は国家安全保障のためにも、輸出管理や技術漏えい防止対策を強化すべきだ。

インターネットや全地球測位システム(GPS)は、軍事用に開発が始まり、民生用としてめざましい発展を遂げた。近年は民生技術を軍事転用するケースが増えており、中国政府は“軍民融合”を提唱している。ファーウェイ問題で明らかになった第5世代通信(5G)関連や半導体、ロボットなどの分野で今後、国産化に力を入れていくことが予想される。

中国が建国70年の記念日となる今月1日に天安門広場で行った大規模な軍事パレードでは、ステルス無人機や極超音速ミサイルなどの新兵器が多数登場した。宇宙やサイバーなどの新領域でも、中国は力をつけているとみられる。日本は新防衛大綱で対応能力を強化する方針を打ち出したが、取り組みはまだ緒に就いたばかり。日本が劣後する恐れがある。

サウジアラビアやイラク、シリアなどの中東諸国では、中国製ドローンが多数、使用されている。ドローンを使う攻撃は、自国兵士を生命の危険にさらさず、何より低コストで済む。先進諸国が推進する次世代戦闘機でも、ステルス性能と並んで無人機の開発を指向している。

無人機とAI、画像処理技術などを組み合わせれば、高性能の新兵器が誕生する。国内でこれらに強みを持つ企業は大手に限らない。半導体やロボット、AI、バイオなどに強みを持つ中小やベンチャー、スタートアップの企業も含まれる。

現行のルールでは、そうした企業が中国企業と開発で手を組んだり、技術を売り渡したりする動きをチェックするのは難しい。技術が相手国の兵器に使われ高度化すれば、日本の安全保障の負担が増しかねない。

民生技術の何をチェックし、何を守らなければならないか。政府内で検討が始まっているが、きめ細かな仕組みづくりが急がれる。

(2019/10/24 05:00)

総合2のニュース一覧

おすすめコンテンツ

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

電験三種 合格への厳選100問 第3版

電験三種 合格への厳選100問 第3版

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン