(2020/3/3 05:00)
プラスチックゴミの誤飲を続けると疑似満腹感に襲われ、栄養失調で餓死してしまう。7月からレジ袋の有料義務化が始まるが、海洋で起こっている海鳥やウミガメの悲劇を連想するのは難しい。海洋プラスチック汚染が厄介なのは、被害が消費者から遠くにあることだ。
人間はプラスチックの便利さを享受してきたが、しっぺ返しを受けるかもしれない。プラスチックと環境ホルモンを研究する東京農工大学の高田秀重教授は「食物連鎖によりプラスチックに含まれる添加剤が人間の体内に入る」と懸念する。
有料義務化でも「バイオマス素材配合率25%以上」のレジ袋は対象外になる。一歩でも環境対策が進むのは歓迎したいが、石油系7割のレジ袋は持続可能性があると言えるだろうか。バイオマス配合でも削減を最優先したい。
レジ袋は廃プラ全体の約2%にすぎないとの報告もあり、海洋プラゴミの削減効果は限られる。ならば有料義務化はマイバッグの利用を消費者に根付かせ、使い捨ての習慣を変えるきっかけとしていくべきだ。
環境対策は「小さなことからコツコツと」が大事と思い、筆者もマイバッグを使っている。「レジ袋の削減にご協力ありがとうございます」の一言は心地よい。
(2020/3/3 05:00)