(2020/3/20 05:00)
中小企業や非正規労働者など弱者に配慮しつつ、景気下支えに実効性ある施策を期待する。
政府は新型コロナウイルスの感染拡大による経済の落ち込みをカバーするための緊急経済対策の検討を急いでいる。諸外国の国境閉鎖や国内の会合自粛・臨時休校などによる実体経済への打撃は、リーマン・ショックを上回る恐れもある。
重要なのは、経済の激変の影響を受けやすい中小企業や個人事業主に配慮することだ。日本商工会議所は緊急提言を公表し、中小企業に対する支援策を要望した。資金繰り支援のためのセーフティーネット機能の強化や、下請け中小企業への取引上のしわ寄せ防止、補助金・助成金等への特段の配慮などを求めている。
収入の不安定なフリーランスや非正規労働者への支援も欠かせない。リーマン・ショック時には、十分な貯蓄がない派遣労働者が契約切れで生活できなくなる事態が問題化した。今回のコロナウイルスの流行では、飲食店や旅館など小規模な事業者が売り上げの大幅減少に見舞われている。従業員の雇用継続も容易でなかろう。こうした弱者に経済的な支援の手が届くことが求められる。
実体経済の底支えには大規模な財政出動が不可欠だが、より効果を上げるためには工夫も欠かせない。全世帯への一律給付金は、現状では貯蓄に回ってしまう懸念が大きい。生活困窮世帯や子育て・介護など出費がかさむ世帯に限るべきだ。
政界の一部からは消費減税案も浮上している。確かに一般へのアピール効果は大きいだろうが、増大する社会保障関連費に使途が決まっている。そもそも恒久的な税制と緊急対策を混同してはならない。
消費増税対策として実施中のポイント還元制度を延長・拡充し、景気浮揚に活用するのも一案だ。従来、即効性のある対策は公共事業などに限られていた。ポイント還元はクレジットカード業界などの負担はあるものの、消費者の購買意欲を刺激する新たなツールだ。政府には知恵を絞ってもらいたい。
(2020/3/20 05:00)
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