(2020/7/22 05:00)
自宅のある自治体には、全国でも数少ない特定感染症指定医療機関がある。新型コロナウイルス感染症対策でも主導的な役割を果たしてきた。加えて地域住民限定で、医師から紹介状をもらえばPCR検査を受けられるサービスを提供している。
家族が夏風邪らしい症状の発熱で医者にかかった時のこと。「念のため」と勧められて検査を受けた。結果が出るまでに数日を要し、同居人には行動制限はないという。ただ、エチケットと思って事情を話し、何件かの面会予定を取り消した。
それが想像以上に波紋を引き起こし、驚かされた。どこから伝わったのか、数日前に会った人から「陰性が確定したら教えてください」という問い合わせまでいただいた。
未知の病気は誰しも怖い。検査を受けただけでも周囲から敬遠されてしまう。軽い発熱程度なら医師の診察を我慢して、周囲に隠している人がいるのではないか。そうした“隠れ感染者”が町を歩くのが最も怖い。
政府はコロナの検査体制拡充を約束している。感染者に接触した覚えのない人が受ける「念のため検査」も今後、増えてくるはず。手軽な検査が許される社会的環境も、ウィズコロナ時代の要件だと思った。
(2020/7/22 05:00)