(2020/9/8 05:00)
レジャー産業が苦境にある。日本生産性本部がまとめた「レジャー白書」によると2019年の余暇関連市場は前年比0・6%増の72兆2940億円だった。増加は2年連続。インバウンド(訪日外国人)がけん引した観光・行楽部門を中心に堅調を維持したが、新型コロナウイルス感染症の影響で20年は前年比2―3割減が見込まれるという。コロナ禍を追い風にする分野もあるが、市場全体は縮小する公算が大きい。関連産業はレジャー志向変化への対応が求められている。
日本生産性本部が毎年まとめるレジャー白書は、日本の余暇の実態を需給双方の視点から分析・記録する唯一のリポートといい、77年以降発行し今回で通算44号目。今回対象となった19年の余暇関連市場は、スポーツ部門、趣味・創作部門、娯楽部門、観光・行楽部門の4部門すべてがプラスだった。
スポーツ部門ではアウトドア、スポーツ用品市場やスポーツ観戦が伸び、娯楽部門では公営競技や外食が堅調だったが、パチンコ、カラオケ、ゲームセンターがマイナス。観光・行楽部門ではホテル、航空、鉄道、海外旅行などがプラスに寄与した。
白書のとりまとめに協力した桜美林大学の山口有次教授は「(パチンコ・パチスロを除いた)余暇関連市場は近年、マクロ経済指標と比例関係を維持してきたが、19年もその関係を保ちながら増加した」という。
だが20年は一変する。コロナ禍でインバウンドは入国制限により消失し、外出自粛やレジャー関連施設に対する休業要請などでレジャー産業は大きなダメージを受けている。
一方、家で楽しめるレジャーは19年は伸び、コロナ禍でも伸びを示しているという。有料動画・音楽配信、電子出版、オンラインフィットネス・オンライン講座、デリバリーの飲食が典型だ。だが市場全体をけん引するには至らず、山口教授は20年の余暇関連市場が「総じて前年と比べ2―3割程度減少する」とみている。
費用が安く、距離が近く、日程が短い「安・近・短」がかつて注目されたが、山口教授は「今後『安・近・単』にレジャー志向が変わるのでは」と指摘する。密を気にしなくてすむ「安心」な自宅や、県境を越えない「近場」、「単身」「単独」「簡単」に楽しむといった志向だ。コロナ禍の収束が見えない中で、レジャー産業では新たな志向に活路を求める動きが強まりそうだ。
(2020/9/8 05:00)
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