産業春秋/12日に紙150年

(2023/2/10 05:00)

スマートフォンを使い始めた知人の作家とメールをしていたら、先方の“既読スルー”で止まってしまった。数日後、訂正のはがきが届いた。メールはまだ不慣れで「分厚い本は堪(こた)えますと打ったはずが、なぜか『答えます』になっていて、あとでびっくりしました」と。

メールなら修正も、絵文字を入れて瞬時に伝えられる。しかしスマホが「90歳の手習い」なら話は違う。「とんでもない文章を送って恥の上塗り」と綴(つづ)る作家の、居住まいを正す姿が想像できる。デジタル化の時代、ちょっと珍妙で心地よいやりとり。

お札や新聞紙、はがきなどを通じ、経済や文化を支える近代製紙業が日本に誕生して12日に150年を迎える。渋沢栄一が東京・王子に設立した「抄紙会社」。その流れを組む王子ホールディングスは社名に街の名前を使い、同根の日本製紙は「洋紙発祥の地」を守り続け、先達の功績をかみしめる。

諸事業を立ち上げた栄一は新たな知識に貪欲な「吸収魔」、人を引き合わせる「結合魔」、意見を述べる「建白魔」だったとされる。

情報を伝え、人と人をつなぎ、メッセージを託す紙の役割は永久不滅だ。バレンタインデーの14日、カードに一言添えてみては。

(2023/2/10 05:00)

総合1のニュース一覧

おすすめコンテンツ

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

電験三種 合格への厳選100問 第3版

電験三種 合格への厳選100問 第3版

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン