検証2011/小水力発電に脚光−群馬・栃木で導入意欲
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、電力の確保が課題となる一年だった。そんななか、北関東に位置する群馬県と栃木県で小水力発電の導入機運が高まっている。山地が多く、水資源が豊富な両県。出力100キロワット以下の小規模の同発電は河川や農業用水などの小さな落差を使って設置できるため、地産地消型の再生可能エネルギーとして関心が集まる。ただ、普及に向けては経済性の観点に加え、水利権の認可取得に要する期間の短縮化が求められている。
群馬県は2010年度に総務省の事業の一環で、県内5カ所に出力10キロワット以下の小規模水力発電を設置した。事業終了後の現在も4台が稼働を続けている。市町村の取り組みでは、2月に伊勢崎市の下水道、5月に高崎市の上水道に小水力発電が設置された。また前橋市は3月、電気自動車(EV)の充電用として市街地内の河川に同発電を設置した。
これに対し栃木県は企業連携を深めている。6月に日産自動車などと共同で「栃木県スマートビレッジモデル研究会」を設立。来春までに宇都宮市内の農業用水路に数キロワット規模の水力発電装置を設置し、日産自動車「リーフ」の充電などに使う考え。7月設立の「栃木発再生可能エネルギービジネスモデル創造特区推進協議会」には野村グループやスマートエナジーなどが加わり、共同会社を設立。同発電を複数設置し、出力1000キロワットの事業規模を目指す。
同協議会では水利権に関する規制緩和特区の認定を国に申請している。実際、小水力発電の設置には水利権を持つ国土交通省や周辺農家などと交渉が必要になる場合が多い。前橋市では14年をめどに市街地に同発電を1台新設する計画だが、水利権の認可取得に約2年がかかる見込み。同市は群馬県とともに水利権認可の規制緩和特区の認定を国に求めている。
地産地消型の小水力発電は市街地など電力消費地に近接することが望ましい。また高出力を得られる設置箇所は一級河川などに絞られる。このような経済性の観点から優れている場所は、水利権の問題も発生しやすい。規制緩和などを通じて課題解決に向かえば、群馬県だけで100万キロワット超とされる中・小水力発電の利用可能エネルギーの開拓に展望が開ける。