[ オピニオン ]
(2017/1/6 05:00)
2017年の世界文化遺産登録に「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が有力視されている。実現すれば日本の世界遺産としては20件目、九州では「屋久島」「明治日本の産業革命遺産」に次ぐ。
宗像大社(福岡県宗像市)は、日本神話の天照大神の子である3柱の女神を祭る。海路を経て朝鮮半島へと至る重要な位置にあり、文化の伝授や交通の守り神として広く信仰されてきた。厳島神社(広島県廿日市市)の祭神でもある。
沖合60キロメートルの玄界灘に浮かぶ沖ノ島は全島が宗像大社の沖津宮で、古代の祭祀(さいし)の跡が手つかずで残る。『海の正倉院』とも呼ばれ、島で発掘された宝物のうち8万点が国宝に指定されている。
我が国と大陸や半島の間の緊密な交流の証でもある。古くは進んだ文化を日本が教わり、近現代はその逆のルートで西欧文明を伝えた。時には干戈(かんか)を交えた。隣人である限り、今後も関わりをなくすことはできない。
昨年末に日中韓の首脳会合が見送られるなど、東アジアは政治、経済、安全保障と、あらゆる面で不安定な状況にある。ただ国民が望むのは平和であり、産業界が望むのは安定と発展である点に疑いはない。年始にあたって、宗像3女神に平穏な一年を願う。
(2017/1/6 05:00)