[ オピニオン ]
(2017/1/9 05:00)
地球温暖化対策の国際ルールであるパリ協定が昨年、発効した。2017年は、この具体化に向けて動きだす年だ。
同協定は平均気温上昇を産業革命以前の2度未満に保つとともに、1・5度に抑える努力を追求するという内容。これを達成するには、今世紀後半に温室効果ガスの排出を事実上ゼロにする必要がある。
公益財団法人「地球環境戦略研究機関」(IGES)が「長期温室効果ガス低排出発展戦略の策定に関する提言」をまとめている。この中で「『今の産業構造や社会システムを前提として何ができるか』という発想ではなく、『今世紀後半までにどのような社会を構築すべきか』という発想で長期戦略を策定することが必要である」と強調。同時に「企業にとっても事業・資産に対する物理的被害のリスクが高まり、経営の根幹にかかわる課題である」と警告した。
つまり温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素(CO2)排出の大幅削減には、今までの延長線上ではない“脱炭素イノベーション”が求められる。それを促すためには、CO2排出に対価を求めるのが有効だ。すでに日本ではCO2に1トン当たり289円の地球温暖化対策税を課しているが、同提言はこれを数千円以上にし、税収を所得税や法人税減税、あるいは社会保障に活用するとしている。
企業は経済合理性をもとに経営している。だからCO2排出への新たな課税の前に、温室効果ガスの削減目標や目標に向けた工程表を示すことが必要だ。企業はこれに基づいて長期的な経営戦略を構築し、今世紀後半には温室効果ガス排出ゼロを目指さなければならない。
現状を前提にする限り、企業にとっては非常に厳しい状況と思う。だが困難を逆手にとれば新ビジネスが生まれるチャンスともいえるのではないか。30年後にどんなビジネスチャンスがあるのかを見極めたい。
日本だけでなく世界中にニーズがある。いち早く“脱炭素イノベーション”に成功した企業が覇者になれると信じて、技術開発に取り組んでほしい。
(2017/1/9 05:00)
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