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[ 医療・健康・食品 ]
(2017/5/25 05:00)
キリン(東京都中野区、磯崎功典社長、03・6837・7001)の健康技術研究所は24日、ビール原料である熟成ホップのエキスに体脂肪を低減する効果があることを確認し、量産技術を確立したと発表した。飲んでも太りにくいビールの実現などに道を開く。低迷が続くビール市場を活性化する起爆剤となるか。(編集委員・嶋田歩)
【世界で初の確認】
キリンは熟成させたホップに体の脂肪を減らす効果があることを、世界で初めて確認したとしている。成人の男女200人を2グループに分け、熟成ホップエキスを含む飲料と同エキスを含まないプラセボ(偽)飲料を12週間、毎日飲み続けてもらった。飲料摂取前と期間中、終了後に内臓脂肪の面積をCTスキャンで測定した。
熟成ホップエキスを飲んだグループはそうでないグループと比べて、脂肪の面積や体脂肪率が低下する傾向が確認できたという。摂取終了後の内臓脂肪の面積減少はホップエキスを摂取したグループが約10平方センチメートル減、他のグループは同3平方センチメートル減だった。
ビールに華やかな香りと苦みをもたらすホップは、原料として1000年以上使われてきた。キリンはホップの苦み成分「イソα酸」に、体脂肪軽減の効果があることを2002年に発見した。だが、イソα酸は非常に苦い。このため体脂肪低減効果を出すのに必要な量を、ビールや飲料に加えることは不可能だった。
同社はホップを熟成させると、苦みがなくなることに着目。常温で10カ月程度放置。苦み成分が変化したホップから未知の成分を見つけ出し、化学構造や生成経路を解明した。
【量産技術を確立】
発見した成分は「熟成ホップ由来苦味酸」と命名。常温で10カ月程度かかる熟成ホップの生産期間を、60度Cで加熱することにより100分の1に短縮することで量産を可能にした。穏やかで厚みのある苦味の、不快臭のない熟成ホップエキスが量産できたという。
今後はこの熟成ホップエキスを用いて、健康機能を持つ食品の開発、ビールやノンアルコールビール、飲料などさまざまの酒類・飲料に展開することが焦点になる。展開する商品が決まれば、キリンビールやキリンビバレッジなどの工場で、生産を始める計画だ。
【広がる健康志向】
ビール消費量は長らく低迷しているが、この背景には苦味とともに「飲むと太る」といったマイナスのイメージがあるとされる。糖質ゼロの発泡酒が売れているのも、そうした健康志向の広がりからだ。今後の商品化に期待がかかる。
(2017/5/25 05:00)
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