[ オピニオン ]
(2017/6/26 05:00)
自民党が旧民主党(現民進党)から政権を奪回した2012年12月に始まった景気拡張が続いている。この“アベノミクス景気”は戦後3番目の長さで、8月まで続けば「いざなぎ景気」の57カ月に並んで戦後2番目となる。政権は成長戦略を通じた長期の景気拡張を実現し、19年10月に予定する消費増税を確実に実施してもらいたい。
内閣府の景気動向指数研究会(有識者会議)が、今4月で景気拡張が53カ月に達したと事実上確認した。注目されるのは、14年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた後も景気後退局面に入らなかったとの認識を示した点だ。
消費増税は一時的な経済減速を招いても、社会保障財源の増額が将来不安を多少なりとも払拭(ふっしょく)し、一定期間後に消費喚起につながるとの見方もある。14年の消費増税が税率3%の引き上げなのに対し、19年は8%から10%への2%の引き上げであり、経済減速はより緩和されて実施しやすいはずだ。
足元の国内景気は堅調だ。政府は6月の月例経済報告で景気の基調判断を6カ月ぶりに上方修正した。これまでは世界経済の回復や円安を背景に外需依存の成長を続けてきたが、個人消費や設備投資が持ち直すなど景気の安定感が増してきた。
政権は働き方改革や超スマート社会の実現を目指した「ソサエティー5・0」などの成長戦略を強化・推進することで景気拡張の長期化と同時に、家計が好況を実感できる経済好循環を実現したい。個人消費は持ち直しているとはいえ、堅調な企業部門の恩恵が十分に波及しておらず、17年春闘で失速した賃上げも再び勢いを取り戻したい。
景気拡張が長期に及ぶ割に、なぜ家計はその実感に乏しいのか。今回の景気拡張は日銀の量的緩和による円安、輸出増が引き金だった。ただ一方で輸入物価の上昇により実質賃金は伸び悩み、家計の節約志向につながった。賃金の上昇を後押しする成長戦略の推進はもとより、将来不安を払拭し、安心して消費できる財政健全化の意義を改めて考えたい。
(2017/6/26 05:00)
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