[ 科学技術・大学 ]

広島大、薬剤で妊娠しやすく-マウスで卵巣機能正常化を実証

(2017/9/4 05:00)

広島大学大学院生物圏科学研究科の島田昌之教授らは、薬剤によってホルモンなどの内分泌環境を改善すると、卵巣の機能が正常化し、妊娠しやすさを示す「妊よう性」が高まることを発見した。10匹以上のマウスを使った実験で実証した。研究が進めば、高齢女性の不妊治療へ応用が期待できる。成果は英科学誌エイジング・セル電子版に掲載された。

卵子は卵巣で成熟し排卵するが、排卵を繰り返すと卵巣の機能が低下する。過剰な排卵により卵巣の機能が低下したマウスを調べると、卵巣にたんぱく質の一種が蓄積し、組織が繊維化して卵子の成熟ができなくなっていた。

研究チームは、脳の下垂体から分泌されて卵巣へ作用するホルモン「GnRHアンタゴニスト」を疾患モデルマウスに連続8日間投与。すると、卵巣に蓄積したたんぱく質が消失。12日目には発達した卵胞である胞状卵胞が複数見られた。治療後3カ月間は毎月出産するようになった。

島田教授は「加齢によって起きるヒトの卵巣の変化が、マウスと同様であるか研究を進め、臨床試験も目指す」と話している。

このホルモンは、ヒトの不妊治療の薬剤として認可。ヒトの場合、治療の最後に1―2日間投与する。マウスの8日間は、ヒトの2カ月間に相当する。治療への応用には病態の解明や投与期間などを検討する必要がある。

(2017/9/4 05:00)

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