[ ICT ]

【電子版】松岡功の「IoT&AI最前線」(15)AIビジネスに必要な要素とは何か

(2017/10/20 05:00)

人工知能(AI)ビジネスに必要な要素とは何か。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が企業のAI活用に向けた施策を発表した際に、この疑問について答えた。その内容が興味深かったのでお伝えしたい。

  • 伊藤忠テクノソリューションズの粟井利行常務執行役員ITサービスグループ担当役員

CTCが企業のAI活用に向けた新施策を展開

「AI技術はこれまでと違うビジネスを創り出すパワーとなっている。CTCとしては企業のビジネス現場に役立つAIを提供していきたい」――。CTCの粟井利行常務執行役員ITサービスグループ担当役員は、同社が先頃開いた新たなAI施策の発表会見でこう切り出した。

CTCが発表した新施策とは、データの準備や学習、アプリケーション開発などのAIに関連する開発技術を体系化し、それに対応したAI活用のためのハイブリッドクラウド環境「CTC Integrated AI Platform Stack」(略称:CINAPS=シナプス)を提供開始するというものだ。

これまでの企業データの分析や評価システム、製造業やサービス業でのディープラーニングシステムの構築実績に基づき、サーバやストレージ、パブリッククラウド、AIフレームワークを組み合わせて検証したとしている。

ちなみに、AI開発の技術体系は「CTC Artificial intelligence Resolution Library & Architecture」(略称:CarLA=カーラ)と命名。CINAPSはCarLAの第一弾商品となる。これらの内容については発表資料【関連リンク1】をご覧いただくとして、ここからは冒頭でお伝えしたように、同社が会見で説明したAIビジネスに必要な要素について取り上げたい。

AIビジネスに必要な要素は「ADTC」

この疑問について、粟井氏に続いて説明に立ったCTCエグゼクティブエンジニアの照井一由氏は、「AIはすなわちアルゴリズムだと思われがちだが、AIを活用するためにはアルゴリズムとともに、データ、タレント(人材)、コンピュートの4つの要素が不可欠だ」と答えた。

照井氏によると、アルゴリズムは「脳の神経回路網を数式的なモデルとして表現。データの中にある特徴を学ぶことができる」、データは「学習に用いるもので、例えば自動運転であれば、全世界にある大量の路上データが必要。同一地点でも天候ごとのデータが必要」だという。

また、タレントは「アルゴリズムとデータを使いこなし、AIを学習させる知識・能力」と「ビジネス課題の解決においてAIでは足りない要素を補う知識・能力」の2つを備えている人材、そして、コンピュートは「AI開発では大量のデータをアルゴリズムに投入し計算を行う必要があり、これには従来必要とされなかった高速な計算処理やデータ処理が必要になる」と説明。同社ではこれらの頭文字をとって「ADTC」と呼んでいる。

  • 【図1】AIビジネスに必要な4つの要素(出典:CTCの発表資料)

ただ、このADTCは逆にAIの開発やビジネスを進めていくうえでの阻害要因にもなると、照井氏はいう。なぜならば、このうち1つでも欠けると成り立たないからだ。さらに同氏は、「アルゴリズムは次々と新しいものが生まれ、データ生成や人材育成も活発な取り組みが行われるようになってきた。現時点で最も阻害要因になりそうなのはコンピュート」と指摘した。【図1】

確かに、コンピュートについては、さまざまな取り組みが行われているものの、現時点でのリスクは最も高いかもしれない。この課題に対応しようと、CTCが今回発表したのがCINAPSである。改めて、AIビジネスに必要な4つの要素について、しっかりと認識しておきたいところである。

(隔週金曜日に掲載)

【著者プロフィール】

松岡 功(まつおか・いさお)

フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT」の3分野をテーマに、複数のメディアでコラムや解説記事を執筆中。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。危機管理コンサルティング会社が行うメディアトレーニングのアドバイザーも務める。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年生まれ、大阪府出身。

(2017/10/20 05:00)

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