[ 化学・金属・繊維 ]

スギノマシン、2社にCNF供給 振動板・分散剤で実用化

(2017/12/15 05:00)

  • CNFを振動板に使った車載用スピーカー(フォスター電機)

  • CNFを分散剤にした抗菌・消臭スプレー(シナネンゼオミック)

スギノマシン(富山県魚津市、杉野太加良社長、0765・24・5111)は、フォスター電機およびシナネンゼオミック(名古屋市港区)向けに、微細な植物繊維であるセルロースナノファイバー(CNF)の商用生産を始めた。フォスター電機は車載用スピーカーの振動板、シナネンゼオミックは抗菌・消臭スプレー液の分散剤にスギノマシンのCNFを採用して実用化。それぞれ最終製品メーカーへの営業展開を進めている。

CNFは主に木材パルプを処理してナノメートルサイズ(ナノは10億分の1)まで細かく解きほぐしたもの。鉄鋼の5倍以上の引っ張り強度を持ちながら、比重は5分の1(1立方センチメートル当たり1・5グラム)しかない。スギノマシンは2011年から自社製のウォータージェット装置により、高圧水でパルプを細分化したCNFのサンプル提供を開始。材料をパルプのほか甲殻類由来のキチン・キトサンにも広げ、バイオマスナノファイバー「ビンフィス」として展開している。

フォスター電機は車載用スピーカーの大手で、製品をカーオーディオメーカーにOEM(相手先ブランド)供給。CNFを振動板に使うと軽量・高強度で振動吸収性に優れ、車載用スピーカーとして理想的な物性を備える。さまざまなCNFサンプルで振動板を試作し、最終的にビンフィスが採用された。

一方、シナネンホールディングス(HD)の事業会社、シナネンゼオミックは無機系抗菌剤のパイオニア企業。CNFは液中に分散させると高い粘性が出るが、揺り動かされると粘度が下がる流動特性(チキソトロピック性)がある。CNFを使うと微粉末の抗菌・消臭剤を液中に分散させたまま容易にスプレー塗布できるようになる。ウォータージェット法によるビンフィスの安全性も評価された。

(2017/12/15 05:00)

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