[ 政治・経済 ]
(2018/1/8 05:00)
農林水産省は2018年度に、人工知能(AI)を活用した効率的な食品流通構築に乗り出す。食品サプライチェーンの生産や販売、市況、消費者行動データなどをAIで収集・解析し、農産物が欲しい実需者に直接つなげて廃棄ロス削減や適正価格実現を目指す。国内のフードロス発生量は年間600万トン強とされ、食料自給率の面からも削減が急務になっている。まずはレタスなどの葉物野菜から研究し、他作物にも順次、広げる計画だ。
研究機関や民間企業、農業法人などで構成するコンソーシアムを公募し、3月末に選定したい考え。AIシステムの有効性は、大勢のプレーヤー参加がカギとなる。農業者はもとより、リレー出荷を行う大手食品や小売り企業のシステム、電子商取引やフードバンク事業者とも連携させ、利便性を高める。蓄積学習できるAIの強みも生かし、精度を向上させる。
農産物は工業製品とは異なり、天候に大きく左右され計画生産が難しい。レタスなどは価格が1個70―400円程度で変動することはざら。これが農家の収入不安をもたらすと同時に、地域により供給過剰や野菜不足をもたらす原因になっている。カット野菜会社や大手スーパー、外食チェーンで全国農家組織化やリレー出荷を図るところも出ているが「多くは囲い込みの色彩が強く、農家には十分浸透していない」(同省技術会議事務局)実態がある。生産者、仲卸、小売り流通が幅広く使えるデータ連携基盤にAIを活用し、ムダのない効率生産と物流へつなげる。
(2018/1/8 05:00)