[ 政治・経済 ]

【電子版】トランプ大統領、鉄鋼・アルミに関税賦課-来週発令見通し

(2018/3/2 07:00)

  • ホワイトハウスで鉄鋼・アルミへの輸入関税賦課を発表したトランプ大統領(ブルームバーグ)

(ブルームバーグ)トランプ大統領は米国が鉄鋼輸入に25%、アルミニウム輸入に10%の関税を課す計画だと明らかにし、来週正式に発令すると述べた。

トランプ大統領は1日、ホワイトハウスに招いた金属業界幹部らを前に関税賦課を発表。「来週中に署名・発令となる。あなた方が長らく受けられなかった保護が実現する」と述べた。その後の記者質問に対し、トランプ氏は関税率について「鉄鋼は25%。アルミが10%だ」と答えた。

当日朝方にはホワイトハウスの当局者がきょうは関税の発表をしないと述べていたため、関係者の間で混乱が生じた。原題: Trump Says U.S. to Impose Harsh Steel and Aluminum Tariffs (1)(抜粋)

FRB議長とNY連銀総裁、保護主義を批判

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長とニューヨーク連銀のダドリー総裁は1日、貿易制限を設けないことが世界経済にとってプラスになるとの認識を示した。トランプ大統領はこの日、鉄鋼とアルミニウムの輸入に関税を賦課すると表明した。

パウエル議長は、上院銀行委員会での公聴会で議員の質問に答え、モノとサービスが自由に移動するシステムは多くの国にとって最終的にプラスだと指摘。ただ恩恵は均等には行き渡らないと述べた。一方でダドリー総裁はブラジルでの講演で、貿易障壁をより明確に批判し、「保護主義は答えにはならない」と述べた。

パウエル議長は特定の国の政策には直接言及せず、「最善のアプローチは、関税に頼るのではなく、直接影響を受ける人々と直接取り組むことだ」と述べた。

ダドリー総裁は、そうした関税は「裏目に出ることが多い」とし、労働者に打撃となると指摘。「貿易障壁は、競争力低下ないし衰退に見舞われている業界における雇用維持の方法としては極めてコストが高い」と発言。「貿易障壁を設ければ、貿易戦争を勃発させるリスクが生じ、世界中の経済成長見通しを損なう恐れがある」と語った。

原題: Fed Blasts Trade Protectionism as Trump Announces Tariffs (1)(抜粋)

「大きな誤り、混乱招く」米供給管理協会

(ブルームバーグ)トランプ米大統領が計画している鉄鋼輸入への関税は、米製造業への大きな打撃となるとの見解を、米供給管理協会(ISM)が示した。

ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は1日の電話インタビューで、「これは誤りだ。非常に大きな誤りだ」と発言。「大変な混乱と代償を招くだろう。米国内の鉄鋼生産はもはや多くなく、いずれにせよ輸入が必要だ」と指摘した。

原題: Steel Tariffs Called ‘Big Mistake’ as Factories Already Jammed(抜粋)

NY株、ダウ400ドル超える大幅安

1日の米株式相場は大幅安となった。一方で米国債は上昇。トランプ大統領が鉄鋼・アルミニウム輸入に関税を課す方針を表明したことが手掛かりとなった。関税賦課を巡っては製造業団体や欧州連合(EU)から反発の声が上がった。トランプ大統領はこの日、業界幹部との会合で関税賦課の方針を表明。これに反応しS&P500種株価指数は大きく下落、一時100日移動平均を下回った。またダウ工業株30種平均も400ドルを超える下げとなった。欧州委員会のユンケル委員長は、新たな関税には「断固たる」姿勢で対応すると表明した。米連邦準備制度理事会(FRB)高官らは先に、貿易障壁を設けないことが世界経済にとってプラスになるとの認識を示していた。

S&P500種株価指数は前日比1.3%安の2677.67。ダウ工業株30種平均は420.22ドル(1.7%)下げて24608.98ドル。ニューヨーク時間午後4時51分現在、米国債市場では10年債利回りが5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.81%。

ニューヨーク金先物相場は3営業日の続落となり、年初来の上昇分を失った。一連の米経済指標で景気の強さがさらに示唆されたことから、利上げ観測が高まった。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は前日比1%安の1オンス=1305.20ドルで終了した。これで年初来0.3%の下落となった。

ニューブリッジ・セキュリティーズ(ニューヨーク)の市場担当チーフストラテジスト、ドナルド・セルキン氏は「トランプ大統領が関税賦課を表明し、株は下げた」と指摘。「自動車価格を押し上げることになる。鉄鋼とアルミを使用する製品は値上がりする」と続けた。

市場の反応は一様ではなかった。S&P500種の資本財株の指数は下げた一方、USスチールやニューコアは上昇。下げが目立ったのはフォード・モーターやゼネラル・モーターズ(GM)など自動車銘柄。低調な自動車販売を受けて早い段階から下落していたが、さらに下げを拡大した。

関税賦課を巡るニュースはボラティリティーにも影響。オプション取引所CBOEのボラティリティー指数(VIX)は20未満から、23を上回る水準に上昇した。

原題: Stocks Sink, Bonds Rally on Trump’s Metals Duties: Markets Wrap(抜粋) Oil at Two-Week Low as Equities Dip, Concerns Linger Over Shale Gold Futures Wipe Out 2018 Gain as U.S. Growth View Curbs Demand

(2018/3/2 07:00)

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