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第48回機械工業デザイン賞/栄誉に輝く19製品

(2018/7/19 05:00)

《最優秀賞(経済産業大臣賞)》

【オークマ/5軸制御立形マシニングセンタ MU―S600V】

ロボットに頼らずに工場の自動化を実現できる5軸マシニングセンター(MC)。製品同士を連結し、内部のテーブルで加工対象物(ワーク)を受け渡しするため、搬送ロボットが不要。そのため工場を省スペース化できる。切りくずや切削液も飛散しない。連結台数を生産量の増減に応じて変更できるため、柔軟な生産ラインを実現できる。機械幅1400ミリメートルとコンパクトだが、直径600ミリメートルの大物部品も加工できる。

【豊田自動織機/トヨタ電動フォークリフト Rinovaシリーズ】

リーチタイプの電動フォークリフト「リノバ」シリーズは、倉庫内での作業効率向上に役立つ商品群。高効率AC(交流)モーターを採用したモデルでは稼働時間を従来比10%以上延ばした。フォーク部分が左右に180度回転するモデルや全方向に走行可能なモデル、自動運転モデルなどで屋内作業への対応を幅広く提案。eコマース(電子商取引)の拡大で小口配送や大型物流倉庫の新設が増える中、需要を取り込む。

《日本力(にっぽんぶらんど)賞》

【アマダホールディングス、アマダマシンツール/デジタル電動サーボプレス SDE―2017 GORIKI】

高剛性の電動サーボプレス機械。一つの金型で複数工程の加工を行う順送加工用に開発した。前面フレームの上部を山型にした新構造などで、プレス機の重要要素である剛性を高めた。異なる材料をプレスした際に生じる偏心を抑える。製品精度の向上や、より付加価値の高い成形品のプレス加工、金型の高寿命化が可能になった。

【クボタ/アグリロボトラクタ SL60A】

人が乗車せず、遠隔操作により自動運転を実現するトラクター。無人で耕うんや代かきの作業ができる。操縦者1人が、有人機と無人機の2台を同時に使う作業も可能。農家の労働力不足、生産性向上などの対策に役立つ。自動走行時に、無人機の周囲に人や障害物を検知したり、車輪が傾いたりした時は自動停止する。

《日本商工会議所会頭賞》

【チップトン/重圧バレル研磨機 マイティ・マイルド】

遠心バレル研磨に、もろいが硬くて摩耗が少ないセラミックス製研磨石を組み合わせた。加工対象物(ワーク)と研磨石に圧力を加えながら流動速度は抑え、高い研磨力と研磨石の高寿命を両立した。従来機より研磨材の摩耗は25―70%減少。処理時間は60―70%短い。打痕傷が減り、面粗さが向上。内角や内バリの研磨効果も高い。

【牧野フライス精機/高精密立形円筒研削盤 TAD】

切削工具の母材を大まかな工具形状にする段研用の円筒研削盤。同社として初めて段研用を開発した。国内でも欧州メーカー製が強く、省スペース性や価格といった商品力と、後工程の機械と一括提案できるエンジニアリング力で市場に風穴を開ける。複雑なプログラミングが不要のソフトウエアを搭載するなど使い勝手も高めた。

《日本産業機械工業会賞》

【日立産機システム/アモルファスモータ 一体型オイルフリースクロール圧縮機】

高効率化と小型化を両立した空気圧縮機。アモルファス(非結晶)金属を使って独自開発した小型モーターを圧縮機の内部に組み込んだ。従来はモーターと圧縮機構を別々に設置し、ベルトで接続する設計だった。現行機種に比べて、製品容積を最大37%まで小型化し、省スペースでの設置が可能になった。

《日本工作機械工業会賞》

【ジェイテクト/CBNクランクシャフト研削盤 GF50MH―70T】

サイクルタイムを従来製品の最大13%短縮できるクランクシャフト用研削盤。砥石(といし)台の形状を最適化して、左右2枚の砥石の最接近距離を、従来の50ミリメートルから18ミリメートルに短縮した。順番に加工していたピンとジャーナルを同時に加工できる。自動車メーカーのエンジン製造が多品種少量にシフトしていることに対応した。

《日本電機工業会賞》

【ダイヘン/高能率アーク溶接システム D―Arc】

建設機械、造船、建築、鉄骨などの厚板溶接作業を大幅に効率化できる溶接システム。最大電流650アンぺアのアーク(放電現象)を安定制御し、高い加工品質を実現した。従来、複数回の多層盛り溶接が必要だった厚さ19ミリメートルの鋼板を1パスで溶接できる。溶接トーチは冷却水路を最適配置し、発熱を抑えてコンパクト化した。

《日本ロボット工業会賞》

【ユーシン精機/アクティブ振動制御搭載プラスチック成形品取出ロボット FRAシリーズ】

射出成形品の取り出し動作時に発生するロボット先端部分の振動を計測し、検知した振動を打ち消す機能「アクティブ振動制御」を搭載した。成形サイクルタイム短縮や品質管理向上が見込める。生産性や品質向上に必要な情報の可視化など、トラブル防止に有効で使い勝手の良いIoT(モノのインターネット)機能も採用した。

《日本デザイン振興会賞》

【島津製作所/マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計 MALDI―8020】

微量のたんぱく質やポリマーなどを分析できる装置。卓上型としては業界トップクラスの分解能と感度を備えている。装置高さを約1メートルに抑え、設置面積は同社従来品比25%減、重量は同74%減とした。狭い実験室にある机にも配置できるデザイン。保守点検の回数を減らせるように設計を見直し、ランニングコストも下げた。

《日本デザイン学会賞》

【ジョンソン・エンド・ジョンソン/手術用超音波メス ハーモニック HD 1000i】

外科手術に用いる超音波メスで、丁寧な手術を心掛ける日本の外科医のニーズを多く取り入れた。刃先をテーパー状に変更したことで強度を保ちつつ細くし、繊細な操作をサポートする。さらに全体の軽量化を図り、術中の負担を軽減。トリガーの握りも改良し、アームの開閉と連動させ、直感的な操作を可能にする。

《審査委員会特別賞》

【オーレック/水田除草機 WEED MAN】

水稲栽培で作業者の負担となる雑草刈りの軽減をテーマに開発した。「回転式レーキ」で稲は傷付けず、稲と雑草の根の深さの差を利用してかき取る。除草刃ローターで草が大きくなってからの除草も可能。ほとんどの操作、調整がレバーとダイヤルでできる。作物を傷付けないように作業機と車輪のレイアウトにも配慮している。

【CKD/医薬品用錠剤包装機 エコブリスタ FBP―320E】

錠剤やカプセルを毎分3000錠包装できる高性能と女性が操作しやすい安全安心設計を両立した。装置全体を小型化。充填テーブルは高さを従来機より140ミリメートル低い860ミリメートルとし、錠剤やポケットの目視確認をしやすくした。重い上ぶたフィルムの装着や交換品の着脱も容易な構造を採用。操作モニターの表示も工夫した。

【新日本工機/門型5面マシニングセンタ NeoV―5M】

主軸ヘッドに「高精度」「高剛性」「高速」を訴求する象徴としてライトグレー色のライン3本を配置した。航空機や建設機械、造船などの部品から金型まで、大型の加工対象物(ワーク)を1台で切削可能。独自装置を付ければ、毎分1万2000回転まで高速化できる。刃先長さの切り込み量は6ミリメートルで重切削にも応える。

【FUJI/小型垂直多関節ロボット SmartWing】

主力の電子部品実装機(チップマウンター)の技術を転用した小型の5軸多関節ロボット。ボルトの配膳や電子部品の整列などに利用できる。ロボット導入で手間となるティーチング作業が不要。付属ツールを用いて装置の設計値と画像処理用モデルを作り、周辺機器を設置すれば簡単にシステムを構築できる。

【フジクラ/多心光ファイバストリッパ RS03】

本体に設置した光ファイバーの被覆を加熱して柔らかくした後、本体を引っ張ることで被覆を除去する工具。従来製品よりも手になじむ形状にして、持ちやすくした。1回の充電で使える回数は従来製品比6倍の600回。温度や加熱時間などを、短距離無線通信規格「ブルートゥース」を使ってスマートフォンで設定できる。

【村田機械/作業者支援機能搭載プレスブレーキ VIDERE】

熟練者の技量・経験に頼るケースが多いプレスブレーキの曲げ加工作業を映像と音で支援する。プレスブレーキ前面をタッチスクリーンとして使用。作業者の目の前で金型段取りや曲げ順、加工対象物(ワーク)のハンドリング作業などを、アニメーションで適切なタイミングで表示する。音も流し、耳でも作業内容を確認できる。

【ヤマハ発動機/細胞ピッキング&イメージングシステム セルハンドラー】

ヤマハ発動機初の医療分野向け製品。表面実装機などの産業用ロボット事業で培った技術を応用した。装置内でロボットが細胞を自動で選択、移動、撮像、データ化することで、手作業と比べて効率を約18倍向上できる。抗がん剤をはじめとした新薬の研究開発のほか、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などの再生医療の研究向けにも提案する。

【審査概要/専門審査委員代表(千葉大学名誉教授) 青木弘行】

今回の応募は37社39件(うち、中小企業は14社14件)と、昨年に比較して増加に転じた。その内容は「工作機械、環境整備機器、荷役・運搬機械、電気機械、電子機械、金属加工・処理機械、鍛圧機械、ロボット関連製品、測定機器、医療・福祉機器、産業用車両、プラスチック加工機械、自動化機械、農業機械、その他の生産財」と多岐にわたっていた。

応募内容を総括すると、ハードのコモディティー化打開策としてソフト開発に活路を求め、IoT(モノのインターネット)対応を訴求する製品が大部分を占めた。一方では、時勢を反映して深層学習(ディープラーニング)による人工知能(AI)搭載製品も散見された。デザインを狭義ではなく広義に解釈する本顕彰制度の趣旨からすると、これらソフト機能の充実策は非常に好ましい状況にあり、過去の受賞製品群と比較してその完成度は格段に向上してきている。

現物審査においては、製品開発に取り組む並々ならぬ情熱を肌で感じ取ることができ、デザイン振興を目的とした本顕彰制度の社会的意義を再確認する格好の機会でもあった。最新の成果が誕生した背景を詳細にうかがう機会は、産業界の動向を広く横断的に理解すると同時に、デザイン開発の方向性を議論する貴重なステージであるともいえる。

開発担当者や現物審査に立ち会われた関係各位に対する感謝の念と共に、専門審査委員を代表して深く敬意を表したい。

(2018/7/19 05:00)

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