[ 政治・経済 ]
(2019/1/16 10:30)
【ロンドン=時事】英議会下院(定数650)は15日夜(日本時間16日未明)、欧州連合(EU)離脱合意案の採決を行い、英領北アイルランド問題をめぐる不満を背景に、反対多数で否決した。投票結果は賛成202、反対432と大差がついた。EU離脱を最重要課題とするメイ政権にとって「屈辱的な敗北」(英メディア)で、メイ首相は2016年7月の就任以降、最大の試練に立たされた。
合意案の批准には議会承認が不可欠。3月末の離脱期限まで70日余と残り時間が少なくなる中、英国が社会・経済に混乱をもたらす「合意なき離脱」へ向かう可能性も出てきた。
首相は否決を受け「下院の支持確保に何が必要かを見極める」と述べ、辞任する考えがないことを明確にした。今後の方針は21日までにまとめるという。
ただ、離脱派と残留派の不和が続く現状では、どんなプランの議会通過も容易でない。離脱の行方は混沌(こんとん)としている。
採決では与党・保守党から約3分の1の議員が造反。野党各党も反対し、英メディアによると歴代政府が経験した最大の敗北となった。
最大野党・労働党のコービン党首は採決後、「内閣不信任案を提出する」と表明した。不信任案は16日に審議・採決される見通しだが、メイ内閣は、総選挙を避けたい与党の造反組や閣外協力政党の協力を得て、信任される公算が大きい。
英国は16年の国民投票で離脱を決定。未払い分担金の清算や、在英EU市民の権利保障などに関するEUとの交渉を17年に始め、18年11月に妥結した。
しかし、北アイルランド問題をめぐり、英国が離脱後もEUに部分残留する選択肢を容認。EUからの独立を重視する与党の離脱強硬派らが猛反発した。首相は18年12月に計画していた採決を延期。EUに合意案の事実上の修正を求めたが、拒否され、否決が確実視されていた。
(2019/1/16 10:30)