産業春秋／新成人のみなさんへ

振り袖には魔よけや厄よけの意味があるそうだ。袖を振るしぐさが邪を遠ざけることにつながるのだという。新型コロナウイルスが広がる今だからこそ、振り袖を着るありがたみもひとしおだっただろう。

今年の成人式はコロナ禍で式の中止を決めたり、延期やオンライン開催にしたりと例年にはない対応をとる自治体が多い。旧友との再会が果たせず、せっかく用意した晴れ着をお披露目する場もなくがっかりした新成人も多いだろう。

人生にたった一度の式典。残念に思うのは当然だ。でもこんな時だからこそ、なぜこうした事態になったのかを改めて考えてみてほしい。なぜ感染は抑えられないのか、なぜ医療現場は逼迫（ひっぱく）の危機にあるのか、なぜ必要な人に救いの手は届かないのか。

この国が抱える矛盾や問題がたくさん見えてくるだろう。怒りを感じるかもしれない。おとなたちがしでかした結果責任を、自分たちが負わされていると。

今年の新成人は１２４万人。一人ひとりが変えようと強く思えば、その力はおおきなうねりとなり得る。日本だけでなく世界にもそのうねりは届き、より良い時代を作るきっかけとなるかもしれない。激変する時代の主役はみなさんです。