モノづくり日本会議 モノづくり力徹底強化検討会・第12回勉強会「DX時代のモノづくり&サービス⑦」

(2021/7/22 05:00)

モノづくり日本会議は6月25日、モノづくり力徹底強化検討会第12回勉強会「DX時代のモノづくり&サービス(7)」として「3つのつなぐ(業務・組織・企業)で実現する製造業DX」をオンラインで開催した。DX(デジタル革新)を活用した事業変革が求められる中、企業内や取引先、消費者などとを「つなぐ」ことの重要性が問われている。製造業にとっての共創ITパートナーを目指すSCSKが講演した。

3つのつなぐ(業務・組織・企業)で実現する製造業DX

SCSK 産業事業グループ産業事業グループ統括本部統括部 シニアプロフェッショナルコンサルタント 三枝智浩氏

SCSKは住商情報システム(SCS)とCSKが2011年合併して誕生した。「夢ある未来を、共に創る」を経営理念として、お客さまの事業価値を高めるために、顧客視点に立つことを心がけている。こうした理念を実現するため、持続的な成長を目指す「豊かな未来社会の創造」「安心・安全な社会の提供」「いきいきと活躍できる社会の実現」と、成長を支える基盤を盤石にする「地球環境への貢献」「多様なプロフェッショナルの活躍」「健全なバリューチェーンの確立」「透明性の高いガバナンスの実践」をマテリアリティー(重要課題)としている。

マクロ環境の変化

コロナ禍における企業の環境・戦略の変化を、経済産業省が調査している。それによるとまず、非対面対応とクラウド化の促進が目立つ。テレワークや営業活動のオンライン化が進み、BツーCだけでなくBツーBでもEC(電子商取引)販売が動いてくる。また、コロナ以前はセキュリティーなどの観点からネガティブに見られがちだった、クラウドについての心理的障壁も薄らいでいる。

しかし、一方でデータの活用は進んでいない。多くの企業はデータを自動収集して、柔軟に分析したいと考えているが、現実としてはその都度手計算で算出しているところが多い。財務系のデータと比べて、生産系のデータの活用も遅れているようだ。

DXについても9割以上の企業が未着手だ。現在の消費者の主役は、物心ついた時からインターネットに触れて育ったデジタルネーティブ層で、そこを捉えるにはスピードが大切であり、製造と販売が連動した納期即答や、モノ売りからコト売りに対応した新規サービスの立ち上げが求められる。デジタル化は不可欠だ。

経営・管理・現場視点で対策

製造業の課題

経営、管理、現場という三つの視点から取り上げる。経営者は単に売り上げや利益を追求するのでなく、持続的な事業成長の実現を求めており、自社の経済的価値向上を目指している。そのためにプロセス面では事業全体の状況や市場・環境などのデータを一元化・可視化して、機会ロスを削減し不測の事態に対応する。製品面でも多様化する顧客を意識して、データを活用したマーケットイン型の製品開発を進めなければならない。人材面では過重労働やハラスメントを避けて生産性を上げるには、社員満足度を向上させなければならず、満足度やモチベーションを数値化して見ていく。

管理視点からは、経営者から預かっているリソースを最大活用するために、PDCAサイクルの高度化が必要だ。例えば現場を離れた間にライン停止が発生した場合、スマホへ通知することでライン停止の時間を短くしたり、停止した前後のデータや動画によって原因を特定する。現場の改善が収益につながり、改善活動の成果も測定できる。

現場視点としては、品質担保・効率化のために、デジタル化によって属人化を排除し、自動化を推進する。人がやる以上どうしてもミスは生じてしまうが、チェックシートを活用して調べていくと現場が紙だらけになってしまう。製造条件の調整や保全のタイミングも熟練者に頼りがちだが、そうした熟練者の退職時期も迫り、技能。技術の伝承も問題となっている。

そこでスマートグラスなどを活用して作業支援する方法もある。ポイントは必要な情報や指示を、一つずつ必要なタイミングで出すことだ。また、ゲートチェックするだけで実績の収集・記録ができるようにする。熟練工の技能を人工知能(AI)に置き換えて、製造条件の自動補正や予知保全にもつなげる。

製造業の未来像

三つの「つなぐ」とは業務、組織、企業についてだ。業務をつなぐとは、企画・設計から生産、販売・物流など社内の業務をつなぐこと。組織は、経営、管理、現場といった各階層をつなぐこと。企業をつなぐというのは、企業間やグループ会社や顧客についてだ。

いずれもデータを活用してつなぐ。ITを活用してつなぎ、可視化する。そこに気づきが生まれ、気づきを実行することで今までにない新たな価値を生み出す。

業務については、全業務データを一元管理し、一貫してサポートできるアプリケーションを、SCSKが提供したいと考えている。データを有機的につなげることで、仮想工場化による無人化やコスト効率追求が進み、生産情報や販売在庫情報を活用したS&OP(セールス・アンド・オペレーションズ・プランニング)によって利益も向上する。モノづくりからコトづくりへシフトして新しいサービスを創出する。

組織をつなぐ上では、KPI(重要業績評価指標)ツリーをキーワードに、経営、組織、現場をつないでいく。経営の視点は言葉を換えるとカネの面であり、現場視点はモノや数量の面だ。その両方から会社の中身を見ることが大切だ。経営、管理、現場のそれぞれに必要なKPIを設定し、お互いの指標を一緒に見ていく。経営視点と現場視点の両方から物事をとらえ、意思決定も効率よく行う。

企業をつなぐためのキーワードはクラウドだ。IoT(モノのインターネット)を活用したデータをクラウドに補完して、クラウドサービスなど開発効率の良いシステムを使い、他の工場や異業種などとの連携を強化していく。

こうしたソリューションによって、当社は顧客へ提供する価値の幅を広げていく。従来製造領域を中心としたソリューションを展開してきたため、やはりコストダウンに貢献するものが中心だった。これからは販売までつなげてECサイトを構築したり、サービスまでつなげて顧客を囲い込んだりして、顧客の事業へ直接貢献する形で、ソリューションを広げる。

新しい価値を創造

設備効率化の例

具体的には設備の効率化を例に、経営リソースの活用を考えてみる。経営リソースには人、モノ、カネ、設備とあり、それぞれに経営ニーズがある。設備に対するニーズは、工場設備を効率よく投資・運用したいというものだが、ここにも経営視点と現場視点がある。

例えば増産が決まって設備投資が本当に必要かどうか、また、設備があとどれくらい使えるか、といった判断が必要なことがある。経営視点でいうと、設備の余力と改善の余地をまず把握することが必要になる。余力と余地を合わせた範囲内で増産分がまかなえれば設備投資はしなくてすむ、という判断ができる。投資効果についての判断が必要だ。

現場側では、実際に発生している事象のデータを元に、設備寿命などを把握し、ランニングコスト上昇率から考えて設備を取り換えるかを判断する。正しい判断のためには、いかに正確なデータを精度良く取るかが肝要だ。ITを活用して効率良くデータを収集・蓄積・解析して、KPIを経営・管理・現場で共有する。

デジタルテクノロジーを活用してデータをつなぐことで、今よりも早く、細かく、正確に情報共有ができる。それにより、今までにない新たな気づきが得られ、新しい価値を生み出すことができる。そうした新しい価値創造をお客さまと共に考え、事業への直接貢献を目指したい。

(2021/7/22 05:00)

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