社説/ウクライナ危機 平和の希求を諦めてはならない

(2022/2/23 05:00)

戦争は誰にとっても利益にならない。ロシアの自制と戦争の回避を強く求める。

ウクライナ情勢をめぐるロシアと米欧の対立が先鋭化している。プーチン大統領はウクライナの親ロシア地域の独立を認め、平和維持を名目にロシア軍の派兵を命じた。戦火に発展する恐れは十分にあり、緊迫した情勢が続く。米国は経済制裁を発動し、日本もこれに同調する。

国連や米欧各国とロシア間の対話などあらゆるチャンネルを駆使すべきだ。最前線で偶発的な小競り合いが起きたとしても、それが拡大することのないよう十分に自制し、大規模戦争の危機を避けてもらいたい。

先進7カ国(G7)の一員として、日本が米欧と歩調をあわせるのは当然のことである。もちろん憲法の制約上、軍事行動に参加することはできない。ロシアへの圧力や制裁、後方支援など可能な方法を見いだし、衝突の回避に力を尽くすべきだ。

かつて湾岸戦争で日本は多大な戦費を負担した。しかし現実には日本は「果たすべき役割を放棄した」と見なされた。もしウクライナ危機が戦争に発展すれば、再び日本は困難な立場に置かれる。外交と安全保障の両面で、今から日本が何をできるかを検討しておく必要がある。

世界経済にとって、戦火がマイナス要因であることは明らかだ。遠く離れた欧州だと楽観はできず、悪影響はボーダーレスに及ぶだろう。新型コロナウイルス感染症の打撃をようやく克服する可能性が見えてきた段階で、暗雲が立ちこめていることは憂慮せざるを得ない。特に金融とエネルギー価格の動向には注意を払いたい。

欧州の対立に関心が集まる中で、東アジアの危機が進行していることも忘れてはならない。北朝鮮がより進んだミサイル技術を獲得したことで、脅威の深刻さが増した。中国の急速な軍事的台頭も引き続き不安要因だ。万一にも〝飛び火〟しないよう警戒が必要だ。

人命の尊さは現代の人類の共通理念である。平和の希求を諦めないよう、各国の指導者に訴えたい。

(2022/2/23 05:00)

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