社説/G7・G20に暗雲(上)欧米、内政懸念も外交注力を

(2022/7/20 05:00)

先進7カ国(G7)で内政問題が相次ぎ浮上している。英国のジョンソン首相に続いてイタリアのドラギ首相が辞意を表明した。6月の仏総選挙(国民議会選挙、下院)ではマクロン大統領率いる右派連合が過半数を割り込み、11月の米中間選挙でも民主党の獲得議席数は楽観視できない状況だ。内政に追われ、ウクライナ情勢への対応に影響が及ばないか注視したい。

相次ぐ内政問題に共通するのは、ロシアのウクライナ侵略に伴うインフレの進行だ。ジョンソン英首相は、ロックダウン(都市封鎖)中に官邸で開いたパーティーに自ら参加した不祥事に加え、インフレへの対応の遅れが辞意表明の背景にある。

ドラギ伊首相が辞意表明したのも物価高対策が不十分だとして、連立政権の主要与党が不信任を突きつけたためだ。ドラギ首相は20日の議会演説で、連立政権を組む政党の全ての支持を得られなければ辞任する意向をあらためて示すという。英伊ともに内政の混乱や政治空白を極力回避することが求められる。

マクロン仏大統領も、欧州連合(EU)の対ロシア制裁を主導してきたものの、その副作用である物価高騰が一因となり政権は過半数割れに追い込まれた。法案成立には野党の協力が不可避で、迅速な政策運営を実現できるのか懸念される。

バイデン米大統領も中間選挙を見据えてインフレ退治に躍起だが、継続する金融引き締め策が経済減速を招きかねない。石油増産を要請した中東歴訪も成果は不透明で、物価高にも収束の気配はなく、難しい経済財政運営を迫られている。

共和党勝利でバイデン政権の求心力が弱まれば、中ロに付け入る隙を与える。中国が秋の共産党大会で習近平国家主席の3期目入りが決まれば、米中覇権争いが再び激化することも想定される。バイデン政権にとって中間選挙は正念場となろう。

G7は6月の首脳会議でロシア制裁とウクライナ支援の強化で合意した。各国は内政問題に向き合いつつ、ウクライナ情勢をめぐる結束強化も手抜かりなく継続してもらいたい。

(2022/7/20 05:00)

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