アズビル、研究開発拠点「藤沢テクノセンター」の新実験棟2棟が稼働 ~計測技術の進化へ、MEMS開発・校正に一層注力~【PR】

(2023/2/16 00:00)

 計測・制御大手のアズビルは2022年9月、開発拠点の藤沢テクノセンター(FTC、神奈川県藤沢市)で2棟の新実験棟(第103建物、第104建物)の稼働を始めた。社員が働きやすい環境を整えたほか、顧客など外部とのオープンなコミュニケーションの場として活用する。加えて、得意とするMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の開発施設や、「正しく測る」の基となる校正施設を整備した。今後の成長を支えるための重要な施設である新実験棟の実像を伝える。

質の高いコミュニケーションを促す

  • 山本清博社長

 JR藤沢駅南口を降り立ち、真東に10分ほど歩くとFTCに到着する。JR東海道線の線路に面し、温度と湿度の表示パネルは車窓からもよく見える。アズビルの社員約6000人(単体)のうち、約2000人が勤務しており、最も多くの社員が働く拠点だ。そこに、計約72億円を投じて建設したのが、第103建物、第104建物だ。

 第103建物は6階建てで延べ床面積が1万721平方メートル。約41億円を投じた。研究・開発の生産性を高め、創造性を発揮できるよう、ワークスペースを工夫した。1階はフリーアドレスが基本で、植栽に囲まれ、リラックスして働けるスペースや、オンライン会議を禁止した集中スペースなどがある。目玉となるのが、入り口を進んだ奥にある、「協創エリア」と呼ばれるガラス張りの部屋だ。

 山本清博社長は「開発者がイノベーションを加速するには、質の高いコミュニケーションを行う場が重要になる」と説いた上で、「コンセプトはオープン」と明かす。顧客企業や大学、政府・自治体を招き、交流することで、「社員が活性化する」(山本社長)ことを狙う。室外からも見える環境で、オープンな意見交換を促す。社内では既に、協創エリアで打ち合わせを実施している。山本社長が執行役員級を集めて議論することもある。「会議室で議論するよりは、明るい中でリラックスして会話できる」とみる。

  • 藤沢テクノセンター

  • 藤沢テクノセンター 第103建物 協創エリア

 社外との交流では、同業他社に来てもらい、意見交換することも視野に入れている。計測・制御は、その対象である顧客がいて成り立つものだが、どのような業種も顧客になり得るため、カバーする業種が広い。同業他社と新しい社会課題を共に解決していくための意見交換ができるとみている。

 新実験棟の働きやすさは、外部から高い評価を得ている。ビルやオフィスを人間の健康や快適性から評価する米国の認証制度「WELL認証」で、WELL健康安全性評価を取得した。実はFTCは既存棟でも取得しており、合計6棟で取得したことになる。国内では認証取得がこれから進むと言われる中で、一つの施設で6棟を取得したケースは全国的に珍しい。

校正の必要性を広くアピール

  • 藤沢テクノセンター 第104建物校正室

 働きやすさだけでなく、今後の成長に向けても着実に投資している。第104建物は3階建てで延べ床面積は4217平方メートル。約31億円を投じて、MEMSの開発施設と計測標準施設を整備した。MEMSセンサーはアズビルのセンシング技術の要で、半導体製造装置をはじめ、各種製造工程や省エネルギーのための計測機器に欠かせない技術だ。山本社長は「強みのMEMSをさらに伸ばす」と意気込む。実際、MEMS技術を活用したサファイア隔膜真空計の新製品を1月25日に発売するなど、新実験棟から新たな成果が出ている。

 校正施設はFTC内にある既存の施設から第104建物に移す形で、新施設が稼働した。校正は計測機器の示す値が標準となる値と比べてどのくらい器差があるのかを確認する作業だ。校正は手間と費用がかかるため、計測器メーカーにとって負担ではある。だが、山本社長は「しっかり測れていることを保証することが非常に重要になっている」と重要性を強調する。

 アズビルは元々、校正に力を入れてきた。その象徴が真空の校正だ。校正は多くの分野で、産業技術総合研究所が標準の仕組みを持っている。真空の校正は難しいが、アズビルは独自の仕組みを築いている。その品質の高さは産総研からも認められている。新施設では圧力(真空計)のほか、温度、湿度、電気(直流・低周波)などの校正を行っており、顧客企業などに見学してもらうことを検討している。山本社長は「校正の必要性を広く知ってもらいたい」と狙いを説く。

 山本社長が校正を重要視するのは、脱炭素の潮流が強まっていることも背景にある。企業などが省エネルギーで二酸化炭素(CO2)排出を削減できた場合、その削減量を正確に測定する需要が高まるとみている。CO2の排出量取引が活性化し、削減量の測定の仕組みが整備されれば、その正確性を保証するために校正の出番が来るとみる。山本社長は「計測の意味合いや重要性が高まるので、それに備えておく」と見通す。

 このように、第103建物、第104建物は単に建屋を増築したのではなく、アズビルの将来の成長に欠かせない要素を伸ばすための戦略投資だ。第103建物、第104建物発のイノベーションが生まれることで、計測・制御が発展し、より良い社会につながることに期待したい。

アズビル株式会社

https://www.azbil.com/jp/

(2023/2/16 00:00)

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