東証、カーボン・クレジット市場開設 企業の脱炭素後押し

(2023/10/11 17:00)

日本取引所グループ(JPX)の東京証券取引所は11日、二酸化炭素(CO2)排出量の削減枠を取引するカーボン・クレジット市場を開設し、取引を始めた。事業者間で相対取引しているカーボン・クレジットの市場取引を可能にし、企業のCO2排出削減を後押しする。2030年の温室効果ガス(GHG)46%削減や50年のカーボンニュートラル(GHG排出量実質ゼロ)実現に役立てる。

  • テープカットする西村経産相(右から4人目)と山道JPXCEO(同5人目)

経済産業省主導で設立した産学官のコンソーシアム「GXリーグ」の構想を基に、経産省から受託する形で東証が市場運営する。9月19日時点で188者の登録があり、申し込みを含めると200者を超える。エネルギーだけでなく多様な業種の企業・団体が参画している。

省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2排出削減量、森林の吸収量などをクレジットとして取引する。当初は国が認証する「J―クレジット」が対象となる。省エネ、再エネ(電力)など6種類の売買区分を設定。売り方と買い方が希望の区分で注文を出し、午前と午後の1日2回取引を成立させる。

J―クレジットは毎年100万トン程度が創出され、22年度は累積889万トンだった。このうち政府保有が6割以上を占める。政府保有クレジットを市場に円滑に供給して取引の流動性を高めるため、「マーケットメイカー制度」を導入する。

証券会社などの金融機関がマーケットメイカーとして登録し、政府からクレジットを調達。その上で売りや買いの注文を出して常に価格が決まるようにし、一般の需要家が取引しやすくする。11月にも運用を始める。

今後はJ―クレジット以外の取り扱いを増やし、GXリーグの排出量取引制度の超過削減枠が加わる見通しだ。日本の技術を活用して海外の温暖化対策に貢献する「二国間クレジット制度(JCM)」や、海外の民間や非政府組織(NGO)が主導する「ボランタリークレジット」も候補に挙がっている。

11日に開いたセレモニーで、西村康稔経済産業相は「社会全体での効率的な排出削減を実現しながら、民間企業のグリーン・トランスフォーメーション(GX)投資を引き出していく」と抱負を述べた。JPXの山道裕己最高経営責任者(CEO)は「経済産業省と連携して制度設計を進める」と話した。

(2023/10/11 17:00)

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