(2024/1/22 12:00)
井関農機はトラクターなど稲作向けの自動化・省力化機械と並んで、野菜向けの省力化機械開発にも力を入れている。1月発売の乗用型ジャガイモ植え付け機「PVH103ー90JLLXQ」も、その一つ。ミッションギアを見直して植え付け速度を上げることで、人間が手押しする歩行型に比べて作業能率を7%向上させた。
国内で生産されるジャガイモは年間220万ー240万トン程度。このうち生食用が約26%、加工用が約27%となっている。加工用ジャガイモの用途はポテトチップスが多い。
主産地は北海道で全国の約8割を占める。しかし2016年、夏場の日照不足や台風上陸に伴う大雨で現地の畑が大打撃を被り、イモの供給量が大幅に減少。いわゆる「ポテチショック」が全国で生じた。この教訓を踏まえ、カルビーや湖池屋などの大手菓子メーカーは長崎県や鹿児島県、茨城県など他県からの調達を進めるとともに、全国リレー出荷体制の構築を図っている。
一般的なジャガイモの栽培で、1反(約10アール)の畑で作る畝の長さは100メートル。畝は合計11本あるため、歩行タイプの手押し式植え付け機を用いると1ヘクタールの畑の場合で11キロメートル歩く計算だ。ぬかるみや凹凸などの悪条件下で、これだけの距離を植え付け作業をしながら歩くのは大変な肉体的負担となる。作付面積が大規模化する傾向にある中で「歩いて植え付けをする農業者から『もっと楽に作業したい』との要望が高まっていた」と、井関農機営業推進部の樋垣智章氏は新製品の乗用型開発の経緯を語る。
新製品は種イモを40キログラム機体にためられる「種イモプール」を標準装備し、途中補給なしで約100メートルの往復作業が可能。プールからシューターまでの種イモの流し方を任意で調節でき、残った種イモの排出も簡単だ。
座席の高さが低いため畝をまたいでの乗り降りも簡単にできる。フロアが自動的にリフトするため、歩行型と同じ操作で旋回動作が可能。4輪駆動で走破性が高く、省力化の切り札として拡販する。
(2024/1/22 12:00)
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