テックラボ、用途に合わせたCFRP部品 短納期で 要素解析技術生かし最適化

(2024/2/2 12:00)

テックラボ(東京都多摩市、尾崎毅志最高経営責任者〈CEO〉)は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の開発や製造に特化したベンチャーだ。軽く丈夫な素材の特性を生かし、飛行ロボット(ドローン)のプロペラや筐体(きょうたい)を手がける。強みは変形や伝熱などの要素解析技術。目的に応じて最適化した部品を製造できる技術力を生かし、航空分野の需要を取り込む。

  • プロペラなどのCFRP部品を手がける

「CFRPの強度は鉄とほぼ同じ。剛性もアルミニウムや鉄に並ぶ上、比重はそれらより小さい」と尾崎CEOは素材の有用性を強調する。テックラボはもともと大手自動車メーカーの車体軽量化に取り組んでいた。

需要が落ち着くと、レーシングカーのエンジンパーツ開発に参入。その傍らCFRPの展開先を模索し、競技用カヌーや家具にも手を広げた。

CFRPは方向によって物理的な特性が異なる「異方性」を備える。テックラボは特定の方向にのみ特性を与え、不要な方向は省く技術を持つ。これによって用途に合わせた部品を製造できる。

自社内で構造解析から製造まで一気通貫で行うため、他社より納期を短くすることが可能だ。CFRPはオートクレーブ成形やプレスなど製造方法によっても得られる特性が変わるため、ノウハウの蓄積は大きな武器だ。

  • オートクレーブで加熱・加圧し樹脂を硬化させる

レーシングカー関連やロボット部品のほか、航空関連ではドローンのプロペラなどの量産に取り組む。

電動のエアモビリティーは「機体を非常に軽くしないと飛ばない」(尾崎CEO)。CFRPは発泡体をコア材にすることでアルミの6分の1程度まで軽くでき、軽量化ニーズに応えられる。細長いプロペラの形状に合わせて長手方向を重点的に強化し、曲がりにくくたわまないようにすることもできる。

「空飛ぶクルマ」開発にも関わる。テックラボは兵庫県内に拠点を置く中小企業の航空機産業クラスター「神戸エアロネットワーク」に参画しており、2030年以降の実用化を目指して機体を開発しているスカイリンクテクノロジーズ(神戸市西区)に協力する。

このほか「風力発電用風車の需要が増えてきた」と尾崎CEOは明かす。ブレードと呼ばれる風車の羽根は従来、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)製が多かった。ブレードを大型化すると重くなるため、CFRPのニーズが高まっているという。

テックラボもブレードの周囲に円形の覆いを取り付けた「レンズ風車」の部材製造に乗り出した。宮城県登米市に新工場を設立し、試作の準備を進める。

さまざまな分野で活用が見込まれるCFRPだが、金属と比べて非常に浅い歴史の素材でもある。どのような用途であっても「信頼性の確保が重要だ」と尾崎CEOは強調する。ただしエアモビリティーについては航空機で採用実績がある以上、需要はすぐに広がっていくと見ており、将来的な市場の大きさに期待している。

(2024/2/2 12:00)

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