「自前主義」で効率化追究 イマオコーポレーション

(2024/3/7 12:00)

AI活用も時間かけて取り組み将来に応用

  • 治具製品の外観を独自開発のAIシステムで検査する

イマオコーポレーション(岐阜県関市、今尾任城社長)は、標準治具、レバーやノブ、ハンドルなどの標準機械部品、アルミニウム構造材を主力とする。標準治具では工具なしに加工対象物(ワーク)を固定・解放でき、機械加工などの段取り作業を簡単にする治具「ワンタッチ着脱」などが人気だ。美濃工場(岐阜県美濃市)では自社製品を使い倒し効率化の手本とする。その一環で人工知能(AI)システムも自社開発し活用し始めた。

同社の基本は「売れるものを作る」だ。ユーザーの声を年100品番以上の新製品に反映する。カタログは計2300ページで1万6000品番を記載。特注を受け、国内生産だけで5000品番を数える。品番別の年間販売数は数万個から1個までばらばらだ。しかも工場は2021年に2交代勤務を廃止。各自の残業時間も月平均0・5時間に抑える。

そのため自前主義の改善活動で効率化を追求する。治具は自社製を活用するのはもちろん、3次元(3D)プリンター5台をフル稼働し内製もする。ロボットの活用では、改善担当者が制御技術を一から学び、据え付け作業やプログラミングまで担う。

  • イマオコーポレーションのAI活用のロードマップ

AI活用も自前主義だ。社員が19年から関連の基礎研修に参加して準備。20年に「AIプロジェクト」が始動した。小原敦司技術担当部長は「時間がかかっても自分たちでやる。一から学ぶことで将来にも応用がきく」と説く。

まず取り組んだのが部品外観検査の自動化だ。省人化に加え「人の目視の曖昧さを排除したい」(小原部長)という。AIが専門の加藤邦人岐阜大学工学部教授の研究室に担当者2人が半年間、毎週通い、同社で初導入となる画像処理技術を含め基礎を学んだ。加藤教授に工場の部課長級への講義も依頼した。

21年には独自プログラムのAI外観検査をテスト導入。改良を繰り返し、治具製品用システムが完成した。櫻井正和品質保証部主幹は「プログラムだけで10種類以上を試した」と振り返る。現在実証中で3月に本稼働する計画だ。

また23年1月には、付け忘れ防止のため人に代わりネジやワッシャーの数を数えるAIシステムも完成させた。最小0・2グラムと質量計では個数がわからない微小部品が対象だ。現在は1台のみで順番待ちもある。今後単価を1万―2万円程度に下げて導入を増やす。「時間はかかったがAI活用の成果が出てきた」と小原部長。さらにAIの用途を自力で広げる。

(2024/3/7 12:00)

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