(2024/3/18 12:00)
キョーワ薬局(名古屋市東区、山中昭彦社長)は、2月にオープンしたレストラン「きょうわごはん」(同中村区)に遠隔操作が可能な“分身ロボット”を導入した。身体的な問題で外出が難しいスタッフでも自宅などからロボットを操作でき、来店者に接客対応する。多様な人材が自身の能力を最大限に発揮できる場を提供する。同社ではこのほか、薬局にピッキングロボットを導入するなどロボット活用を加速している。
きょうわごはんはキョーワ薬局の管理栄養士が素材の選定からメニュー作成、調理までをサポートしたメニューを提供するレストラン。旬の食材や地元産の食材にこだわり、バランスの取れた食事を提供する。同店の入り口付近に、オリィ研究所(東京都中央区)の分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を設置した。愛知県での導入は初。
同店舗では日替わりのメニューを数種類用意する。身体障がいのあるスタッフがロボットのパイロットとなり、遠隔からスピーカーを通じてメニューの紹介などを行う。来客の様子はカメラで確認できる。スタッフの手元のタブレット端末で操作し、身ぶり手ぶりを交えたコミュニケーションも可能だ。遠隔で働くスタッフと店舗のスタッフで役割分担し、適材適所でスムーズな接客を実現する。
キョーワ薬局の親会社である協和ケミカル(名古屋市東区)の岩田裕美子最高経営責任者(CEO)は「当レストランは『からだ、人、地球にやさしく』がコンセプト。重度の障がいがある人でも遠隔操作を活用し活躍できるような場にしたい」と狙いを語る。今後は店内を移動して配膳する分身ロボットの導入も検討し、さらなる障がい者の雇用につなげる。
OriHimeを手がけるオリィ研究所は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの難病や重度障がいで外出困難な人材が働ける分身ロボットを活用するカフェを運営。きょうわごはんへのロボット導入に当たり、協和ケミカルの担当者らが同カフェを視察した。
キョーワグループでは障がい者活用を推進しており、同店舗では認知症当事者や高齢者も積極的に雇用する計画。新規事業企画運営室の渋谷直隆氏は「障がい者は潜在的に能力が高い人が多い。労働人口が減る中で、多様な人材が働く場をつくることは重要」と話す。
レストラン以外でのロボット導入も開始した。愛知県内の薬局に2種類のピッキングロボットを順次設置している。小牧店(愛知県小牧市)に2月末に導入したロボットはユヤマ(大阪府豊中市)製。これまでは人が調剤室を歩き回り、薬品をピッキングしていたが、ロボットがトレーから薬品を短時間でピッキングする。
5月にはイタリアメーカーの人工知能(AI)搭載型調剤ロボットを栄生店(名古屋市西区)に導入する予定。単純作業を自動化することで省人化・効率化を図る。地域医療への貢献に向け、次世代を見据えた薬局づくりを進める。
(2024/3/18 12:00)
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