メッキ加工一筋半世紀 九州電化・技術開発部部長 中野寛文氏に聞く

(2024/4/2 12:00)

「仲間への尊敬」忘れずに

  • 最適な工程を見いだす課題は次々と出てくると中野氏

表面処理業の九州電化(福岡市東区、吉村浩司社長)に勤める中野寛文氏はメッキ加工一筋およそ半世紀という超ベテラン。中野氏に話を聞いた。

―メッキとの関わりを教えて下さい。

「前の会社でも現在と同じくメッキの開発に携わっており、46年になる。昔のメッキはコストダウンが大きな役割だったが変化している」

―どのような変化ですか。

「質的な変化だ。例えば半導体で細い回路を作る場合はメッキ液の管理がシビアになった。細い線を安定して、すごいスピードで作らなくてはならない。メッキ液などの材料を管理、検査する重要性が増している。液の状態をモニターするため、大学の実験室でしか使われなかったような装置が現場で使われるようになった」

―仕事へのモチベーションを維持できる理由は。

「当社はメッキの種類が多く、対象とする材料も幅広い。材料に応じた最適な工程を見いだすための新しい課題が次々と出てくる。新分野に取り組んでみないかと提案されることも多い。新しい機械を導入すると新しいデータが出てくることは面白い。いろいろなことに興味を持ち、発見が好きな自分には、そのような当社の環境が合っている」

―人材育成での心がけや最近の取り組みは何ですか。

「私が育った昭和の時代と今では教え方が違う。昔は厳しい言葉もあったが今は受け入れてもらえない。分かりやすいように具体的で丁寧な説明を心がけている」

「カメラ付き眼鏡を使って、私が見る物を説明する動画を撮っている。私がいなくなっても、何をどのように見ていたかを残しておけば役立つのではないか」

―後輩にどのようなことを伝えていきたいですか。

「仕事は1人ではできない。仲間を尊敬する気持ちを忘れてしまえば成功はしない」

―今後の抱負は。

「当社は半導体が大きなテーマになる。半導体製造の中で実装分野に技術を生かせる可能性があるのではないか。製造や液の管理、検査、機械などに私の経験を生かすことができればうれしい」

【略歴】77年(昭52)九大院工学研究科修了、同年新日本製鉄(現日本製鉄)入社。11年九州電化技術開発部部長。福岡県出身、71歳。

(2024/4/2 12:00)

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