マンダム、効率向上と環境負荷低減進める 物流24年問題 満載台数のみ日通に委託

(2024/4/11 12:00)

マンダムはドライバーの時間外労働時間制限による「2024年問題」を見据え、国内唯一の工場である福崎工場(兵庫県福崎町)から流通卸代理店への物流改善を進めている。商品ケースの改良でパレットやコンテナなどへの積載率を高めるのに加え、トラックから鉄道・船舶へのモーダルシフトを進め、効率向上と環境負荷低減を図る。「納期とコストをキーワードに手を打つ」(岩田諭喜文福崎工場長)とし、費用を抑えながら問題解決を図るべくバランスを取る考えだ。

  • ケース変更でパレットやトラックの積載効率を高めている

福崎工場からは日本通運に委託して全国に配送している。ワックスやジェル、ペーパーなど6種類の剤形の化粧品、医薬部外品などを年間1億2000万―1億3000万個の規模で生産、出荷する。ケースの大きさや商品個数の変更でパレットの積載率を30%弱高めた。岩田工場長は「輸送効率向上に加え、倉庫の保管費用を削減できる」と利点を説明する。

トラックの積載も数量の多い代理店中心にまとめ、満載になる台数だけをチャーターする計画の運用を進める。「集約で手間が省け、効率良いオペレーションになると日通に評価されている」(同)。

ドライバーの時間外労働時間制限により日通の福崎町の倉庫から1日で輸送できる範囲が福岡・栃木から山口・静岡に狭まる。福岡県と埼玉県の倉庫の在庫を増やしているほか、納期が延びる地域の代理店に対しては日数は同じでも費用削減できる手段としてモーダルシフトを提案し、理解を得る考えだ。

  •     モーダルシフトの一環で船舶利用も進める(北海道方面で活用している船舶)

配送量が前年度比70%弱増えている大消費地の関東などで鉄道の利用拡大を図る。24年問題対策で鉄道の需要増加が想定されたため「意図的に前倒しで実績を作り、枠を確保しやすくした」(同)と強調する。今後は東北方面で試験運用する。

物量の多い関東方面では災害リスク対策で船舶を確保する考え。23年度に内航船の試験で運用を確認した。

また中国とインドネシアの工場からの輸入は受け入れ港が神戸のみだったのを神戸と東京に分ける。船舶運賃は神戸も東京も同じため神戸から東京方面への陸送料金を削減できる。試験運用し、埼玉県内の倉庫で医薬部外品など輸入品の扱いを確認する。

22年度と同じ物量の場合、物流コストが20%増えると試算したが、物流改善で上昇分の10―20%を抑制できる見込み。日通とは定期的な協議で情報共有や改善を図る。今後はマンダムの工場で稼働する搬送ロボットの活用を提案するなど倉庫作業の効率化も目指す。

(2024/4/11 12:00)

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