(2024/5/10 05:00)
酉島製作所はエジプト北部のスエズ運河近郊に、インフラ設備向けポンプのサービス・メンテナンス拠点を新設する。6月に着工し2025年3月に完成する予定で、他社製ポンプのメンテなども担う。同国では人口増に伴い発電所や各種プラントの新増設が相次ぎ、ポンプの需要も拡大している。重要市場に位置付ける同国の需要を掘り起こすほか、アフリカ市場の開拓も視野に入れる。
酉島製作所はこのほど、新拠点のために約3万平方メートルの土地を取得した。土地や建屋などを含む投資額は約500万ドル(約7億7700万円)。エジプトでは21年に灌漑(かんがい)施設向けの大型受注を獲得するなど同社連結売上高の約11%を占めており、主要なマーケットに成長している。
新拠点ではアフターメンテや、日本から送った製品の納品前の組み立て・流量の検査、据付、他社製品のメンテなどを行う。他社製品の部品交換については専用機械を用いて図面を作成し、部品を製造できるようにする。
スペアパーツを保管できる倉庫や、細かい部品の製造に対応できるCNC旋盤などの工作機械、バランシングマシン、40トン以上の大型クレーンなども導入する。従業員は約40人を予定する。
立地場所は、アイン・スクナ地区のスエズ運河経済特区(SCZONE)。同国スエズ湾沿岸にある港湾で、日本からの製品輸送に適しているほか、顧客が集積するアレクサンドリアやカイロに向けて高速鉄道が通っており、利便性が高い。
エジプトでは海水淡水化プラントや下水処理場、精糖工場、製鉄所に同社のポンプが採用されている。22年度実績で売上高は74億7400万円。同国政府は水素などの再生可能エネルギー関連投資の誘致にも積極的に取り組んでおり、開発中の水素ポンプなどの展開も視野に入れる。
同国にはポンプの主要メーカーやメンテ拠点が少ないために、顧客自身が部品やパーツを取り寄せてメンテや修理を行うことが多い。
(2024/5/10 05:00)