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[ 医療・健康・食品 ]
(2018/5/8 15:00)
武田薬品工業はバイオ医薬品メーカーのシャイアーを約460億ポンド(約6兆8000億円)で買収することで合意したと発表した。日本企業による海外企業の買収としては過去最大規模となる。
武田薬は、新株の発行と現金を組み合わせシャイアー株1株当たり49.01ポンドでの買収を提案。これには現金30.33ドルと、武田薬の新株0.839株また米国預託株式1.678株のいずれかが含まれる。武田薬が買収の検討を公表する3月27日のシャイアー株終値に60%の上乗せとなる。買収の成立には株主の合意が必要になる。
武田薬は今回の買収により、米国市場の基盤強化や消化器系疾患やがん、神経障害などの領域を強化することができると見ている。ただ、巨額の買収が重荷となる可能性はある。3月に武田薬が買収検討を発表するとシャイアー株は26%上昇し、時価総額は約5.2兆円まで膨らんだ。一方、約20%株価が下落した武田薬の時価総額は約3.7兆円で、自社を上回る企業の買収となる。
同社は、必要な資金を調達するため、308億5000万ドル(3兆3608億円)のブリッジローン契約を8日付でJPモルガンチェース銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行と締結したことも発表した。このうち、35億ドルについては返済日が借り入れ実行日から90日後に設定されており、残りの部分については364日後となっている。
医薬品業界ではM&A(合併・買収)が加速している。米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は先月、独メルクの消費者部門を約34億ユーロ(約4420億円)で買収すると発表。スイスの ノバルティスは3月、消費者ヘルスケア関連の合弁会社の株式36.5%を130億ドル(約1兆4179億円)で英グラクソ・スミスクラインに売却すると発表。仏 サノフィはジェネリック(後発医薬品)部門を米投資会社アドベント・インターナショナルに19億ユーロで売却する方針を示している。
国内での人口縮小や特許切れが進むなか、武田薬はクリストフ・ウェバー最高経営責任者(CEO)のもとで海外市場を取り込むために海外企業の買収を加速させていた。同社は2011年、スイスの製薬会社ナイコメッドを96億ユーロで、昨年には米アリアド・ファーマシューティカルズを約46億6000万ドルで買収している。
シャイアーが得意とする希少疾患の治療薬に対する需要は増加傾向。競争も比較的緩やかで収益性が高い。(ブルームバーグ)
(2018/5/8 15:00)