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品質と生産性を支える金型産業 11月25日は「金型の日」

(2018/11/29 05:00)

業界展望台

11月25日は「金型の日」。日本金型工業会は内外に対する金型工業の認識を深めるとともに、今後の業界の発展を期するため、工業会の創立記念日を「金型の日」と定め、優良従業員表彰や講演会などからなる記念式典を実施している。今年は22日に第45回「金型の日」記念式典を開催した。

マスター認定制度 技術力を“見える化"

金型はプラスチック成形やプレス加工には不可欠なマザーツールだ。優れた金型技術が高品質・高精度で生産性の高いモノづくりを支えている。

2017年の国内の金型生産は重量が16万1764トン、金額が4205億円。リーマン・ショックで大きく落ち込んだ後、徐々に回復してきたが、それでもリーマン・ショック以前の水準には届いていないのが現状だ。海外での現地調達が増えていることなどが影響しているとみられる。

17年の金型生産額4205億円の内訳はプレス用金型1651億円(39.3%)、プラスチック用金型1447億円(34.4%)、ダイカスト用金型524億円(12.5%)、鍛造用金型315億円(7.5%)などとなっている。

型管理 適正化へ 素形材産業取引ガイドライン改訂

金型メーカーが製作した金型を使用するのは成形加工メーカーだが、その金型の所有者は加工品の発注者であることが多い。金型を使用しない間は、成形加工メーカーが金型を保管しておくことになる。金型の保管には場所も必要で、管理コストがかかる。そこで、型管理の適正化に向けた取り組みが始められた。

経済産業省・中小企業庁は昨年7月、自動車・素形材業界における公正な取引環境の実現に向けて、「未来志向型・型管理の適正化に向けたアクションプラン」を公表した。アクションプランは大きく(1)不要な「型」は廃棄する(減らす=管理対象の削減)(2)引き続き保管が必要な「型」については、必要な管理費用の支払いや保管義務期間などについて、協議・合意のもと、取り決める(見直す=管理対象の管理の適正化)(3)型管理について、社内においてルールを明文化、運用のあり方を見直す(仕組みを作る=管理の自立化)―という三つの行動からなる。

「減らす」「見直す」「仕組みを作る」という基本方針のもと、型の廃棄、保管料支払い、マニュアル整備などについて、型管理の適正化を強化していくための具体的な取り組み内容がまとめられている。

今年5月に公開された「素形材産業取引ガイドライン」改訂版にはそれらの内容も反映されている。成形加工を担当する下請企業は概して弱い立場にある。完成品メーカーを支える部品メーカーに過剰な負担を負わせることがないよう、型管理の適正化に向けた取り組みは重要だ。

「金型の日」を迎えるにあたって 日本金型工業会会長 小出悟

「一致団結して成長・発展を」

今年も早いもので第45回「金型の日」を迎えることとなりました。昨年は金型工業会設立60年という還暦を迎えた状況の中、記念行事として金型マスター認定制度もスタートさせることができましたのも、多くの先輩・現役会員の皆さまのご尽力と、関連団体の皆さまのご指導、ご鞭撻(べんたつ)のたまものと、あらためて心より感謝申し上げる次第でございます。

現在私たちを取り巻く環境は百年に一度の変革期が到来していると言われるような、そんな時代に遭遇していることも事実でしょう。さまざまな部分で従来にはない状況に置かれながら、さらにはリーマン・ショックから10年が経過してもいまだそれ以前の状態には回復しておりません。むしろ新たな経済社会の矛盾すら生じ、今もなお拡大しているような心配すらしなければならない状況にあります。

そのような時代に我々はどのような工業会を模索すればよいのか、あらためて将来を見据え、迫り来る新時代に、予測しがたい脅威に十分な準備もしなければなりません。個社の対応力の限界を、金型工業会が一丸となり進むことで、乗り越えられる可能性も高まり、そのつながりを起爆剤とすれば協業化の道も大きく開けるでしょう。

また、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)技術を積極的に取り入れることで、より日本の高い金型技術を世界に誇示し続けることもできます。そのためにも新しい知識、不足している研究・開発力を「学」とのコラボレーションでクリアすることこそ、今やらなければならないことです。

こうして努力し、成長・発展をさせ、これからも継続的努力はしていくものの、金型業界の宿命とも思える業界の弱さは「官」のお力をお借りしてでも改善していかなければならないと考え、モノ創りの世界で確固たる存在となり公平感をもって認知していただかなければならないと思っています。

産・学・官一体となっての日本のモノ創りを今こそ実現させなければならない時で、日本が一つとなり「一致団結・一心不乱」の気概をもって世界に対峙(たいじ)することこそが今肝要であると思います。

一般社団法人日本金型工業会が中心となり、金型業界を発展させるためにも会員企業の皆さまはもとより、関連団体の皆さま、さらには官公庁の皆さまのさらなるご指導・ご鞭撻、ご協力をお願い申し上げる次第でございます。

金型加工のための電気加工技術の開発動向

静岡理工科大学 理工学部教授 後藤昭弘

電気加工を代表する加工方法である放電加工と電解加工はともに20世紀前半に旧ソビエト連邦で発明されたといわれている。放電加工は高精度加工技術の代表として欠かせない技術になっている一方で、電解加工は、加工精度は悪いが超高速加工が行える特殊な技術として航空機部品などの分野で使用されてきた。ここでは、難加工材料を対象とした電気加工技術の動向について概説する。

放電加工 高機能・高付加価値へ

放電加工は1943年に旧ソビエト連邦のラゼレンコ夫妻により発明されたといわれている。放電加工が生まれてちょうど4分の3世紀がたったことになる。現在でも研究機関や企業において新しい価値の創造のための取り組みがなされている。特に最近増えている難加工材料の加工は放電加工の得意とするところである。

放電加工は導電性さえあれば材料の硬さによらず加工ができる方法であり、切削加工・研削加工の技術が進歩して対象の材料の範囲が広がっても、高機能・高付加価値を求めて新しい材料が現れると放電加工がその材料の加工の主役になるということが繰り返されてきた。

難加工材料の代表ともいえる超硬合金は高精度な金型に使用される材料である。例えば最近は、自動車の電動化(EV化)が注目されており、モーターコア金型の精度向上が求められている(図1)。モーターの性能向上のためにモーターコア用の珪素鋼板の薄板化が進んでおり、パンチとダイのクリアランスが10マイクロメートル以下にまでなっていることが理由である。

金型の形状精度だけでなく、真直精度、ピッチ精度も必要である。このような加工に対応するため、放電加工機メーカー各社は高精度技術を搭載したワイヤ放電加工機を発表している。モーターの金型は大型のものが多いので、三菱電機の「サーマルバスター」、ソディックの「サーマルコミット」のような熱変位対策技術が開発されている。ファナックは人工知能(AI)機能を利用した「AI熱変位補正機能」を発表している。牧野フライス製作所は、ピッチ精度1マイクロメートルをうたった機種(UP6)を発表している。

超硬合金のワイヤ放電加工の際には、加工液に水を使用すると超硬合金の結合材であるコバルトが溶出して材料劣化を招くことがあるため、加工液は油でないといけないといわれたこともあった。各社油加工液のワイヤ放電加工機をラインアップしてきたが、モーターのような大型の金型では必ずしも現実的でない場合もあり、水を加工液としたワイヤ放電加工機も復権してきたようである。水用の仕上げ電源回路も開発され、面粗さでも水が劣っているとはいえなくなってきている。

形彫放電加工では、加工技術そのものに革新的な技術は現れにくくなっているが、操作性を向上させる技術開発が進められている。形彫放電加工でもAIをうたった技術が発表されている。ソディックはAIで加工条件を選択する「LN Pro ADV」やAIで保全を行う「AIM」を発表している。三菱電機はAIで加工状態を最適制御する機能を搭載した形彫放電加工機を発表している。

電解加工 難加工材料を高精度に

電気加工を代表するもう一つの加工技術である電解加工は、1929年に放電加工と同じく旧ソビエト連邦においてグーセフにより発明されたといわれている。放電加工とは異なり、これまでは航空機エンジンやガスタービン、あるいは、部品のバリ取り加工などの特殊な用途が主であり、あまり一般的な加工技術とは考えられていなかった。

難加工材料を加工変質層なく、極めて高速に加工できる優れた加工方法ではあったが、一方で、加工精度が悪い、加工くずの処理が容易でないなどの欠点も持っていた。しかし、21世紀に入る前後から、パルス状の電流を使用した高精度な電解加工技術がヨーロッパを中心に開発されるようになり、電解加工の持つイメージが変わってきた。

国内でも電解加工に注目が集まるようになり、2011年3月、電気加工学会に「電解加工研究委員会」(委員長=小原治樹富山大学教授)が発足した。以来7年以上にわたり研究報告、調査報告、意見交換が続けられている。委員会での議論を基に、今後の電解加工の研究の方向性をまとめたところ、14年10月に内閣府総合科学技術・イノベーション会議が創設した研究開発プログラム「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の「革新的設計生産技術」(管理法人=NEDO)に採択され、18年2月末まで研究開発が実施された。國枝正典東京大学教授が研究代表者となり、國枝正典東大教授(共同実施先=放電精密加工研究所)、夏恒東京農工大学教授(再委託先=豊田工業大学、関東学院大学)、後藤昭弘(再委託先=牧野フライス製作所、アクリテック)が委託先となって研究開発を行った。

新技術開発へ

  • 図2 SIPで開発した電解加工プロトタイプ機

SIPのプログラムを通し、電解加工の現象が多く解明され、新たな要素技術が開発された。これらの技術を搭載したプロトタイプ機の外観を図2に示す。今後、実加工を目指した研究開発を進める計画である。

電解加工は放電加工と同じく金属材料であれば硬さによらず高速に加工することができる。例えば、ニッケル合金など通常の切削工具では加工が困難な材料でも鉄鋼材料と同様に加工できる。しかし、超硬合金(炭化タングステンを結合材であるコバルトで固めた材料)は主成分が金属材料ではなく、炭化タングステンという化合物であるため、電解作用だけでは加工することができない。

また、金属であるコバルトが優先的に溶出して超硬合金の強度を劣化させるという問題もあった。現在では品質劣化を防ぎ超硬合金を加工する技術も確立されつつある。

電解加工は複合加工にも適した加工方法であり、古くから研削加工と組み合わせた電解研削法が実用化されている。筆者らは、電解作用を利用して超硬合金の表面の強度を低下させて機械的に削り取るミーリング方法の開発を進めている。硬い超硬合金も結合材のコバルトを除去すれば脆弱な材料になる。電解作用によりコバルトを除去すると切削抵抗が大幅に低減でき、効率よく除去加工できることが分かってきている(図3)。

◇  ◇

企業や大学における放電加工・電解加工の研究・技術開発の動向について紹介した。成熟したといわれる電気加工であるが、新しい技術開発が進められていることが分かる。

「INTERMOLD(金型加工技術展)」「金型展」「金属プレス加工技術展」 モノづくり支える最新情報

2019.4.17-20 東京ビッグサイト青梅展示棟

2019.6.19-22 ポートメッセなごや

「INTERMOLD(金型加工技術展)」「金型展」「金属プレス加工技術展」は金型と成形加工技術に関する日本を代表する展示会として知られる。INTERMOLDと金型展は日本金型工業会、金属プレス加工技術展は日本金属プレス工業協会が主催し、インターモールド振興会が運営する。金型設計・製造から成形までのソリューション提案を通じ、日本のモノづくりを支える素形材産業の最新情報を発信する金型専門見本市だ。

これまで、3展示会は毎年、会場を東京と大阪交互に開催してきた。2018年4月には大阪で開かれ、4万4000人が足を運んだ。さらに、今年6月には名古屋でも初めて開催され、4万3000人以上が来場し、大いに賑わった。

  • 金型設計・製造から成形までのソリューションが集結する(INTERMOLD2018)

東京で開くINTERMOLD2019(第30回金型加工技術展)/金型展2019、金属プレス加工技術展2019は19年4月17日(水)から20日(土)までの4日間、東京・青海の東京ビッグサイト青海展示棟で開催される。青海展示棟は19年4月に開業する仮設の展示棟。最寄駅はりんかい線東京テレポート駅、ゆりかもめ青海駅で、東京ビッグサイト本体からはそれぞれ1駅離れた地区に位置する。

開場時間は10―17時(最終日は16時まで)。入場料1000円(招待券持参者および事前来場登録者は無料)。会期中5万人の入場者を見込んでいる。出展申し込みの期限は12月21日だが、満小間になり次第締め切りとなる。

また19年は東京開催に加えて、今年と同様名古屋でも開催される。中京エリアは日本のモノづくりの中心地、自動車産業の集積地であり、国内で有数の金型メーカー集積地でもある。愛知、岐阜、三重の中京圏に加え静岡、長野、滋賀、新潟、富山、石川、福井といった周辺地域からの来場もあり、中部モノづくり業界関係者が集うビジネスショーとして期待されている。

INTERMOLD名古屋/金型展名古屋、金属プレス加工技術展名古屋は、19年6月19日(水)から22日(土)までの4日間、名古屋・金城ふ頭のポートメッセなごやを会場に開催される。開場時間は10―17時(最終日は16時まで)。入場料1000円(招待券持参者および事前来場登録者は無料)。来場者数は東京と同様、5万人を見込んでいる。出展申し込みの期限は19年1月31日だが、満小間になり次第締め切りとなる。

INTERMOLDなど3展示会は日本のモノづくり力を下支えするサポーティングインダストリー(基盤技術産業)の代表格であるプレス、鍛造、ダイカスト、プラスチックなどの成形に使われる金型や成形加工技術に関する最新情報が発信される専門イベントとして定着している。“中小企業支援"の視点を重視し、中小企業の競争力向上、高品質なモノづくりを実現する具体的な提案、即効性の高いソリューションの提案を強く意識した展示会だ。詳細は公式ウェブサイト(http://intermold.jp)へ。

(2018/11/29 05:00)

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