5軸加工機でオープンイノベーション【PR】

(2019/10/14 05:00)

  • プライベートショー「つながれ!オープンイノベーション」会場の様子

  • プライベートショー「つながれ!オープンイノベーション」会場の様子

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 DMG森精機と、印刷機などのローラー製造大手の中原製作所(岡山市中区)は8月末、プライベートショー「つながれ!オープンイノベーション」を中原製作所の本社工場で共同開催した。中原製作所は、岡山県内外の中堅・中小企業と連携し、最新の5軸加工機を使った事業拡大を目指している。一方、DMG森精機は国内製造業の競争力向上の要に5軸加工機を位置づけ、普及を進めている。こうした両社の思いが合致。DMG森精機にとっては初めての、ユーザーとのプライベートショー開催にいたった。

 プライベートショーは、8月30‐31日に実施。岡山県の金属加工会社を中心に事前申込制で約100社が参加した。5軸機は、1チャックで加工できる工程集約、長い工具が不要になることでの精度の向上、工具側面を使うことでの生産性の向上などが期待できる。

 中原製作所の中原健一社長は参加者に対し、「大きな展示会での加工物は航空機のインペラなど芸術品ばかり。5軸機は聖域のようだが、当社の工場でよく見て、本当はそんなことはないと知ってほしい」と呼びかけた。自身も5軸機に関心はあったが、「F1のサーキットを大衆車が走るようなもの」(中原社長)と導入するまでは高い壁を感じ、敬遠していた。

 参加者は、中原製作所で稼働する7台の5軸機の活用状況などを見学した。同社保有機は「DMC80U duoBLOCK」「DMC160U duoBLOCK」「DMU50 3rd Generation」など。ほかにもDMG森精機が超音波加工機「ULTRASONIC20 linear」、金属積層造形機「LASERTEC30 SLM 2nd Generation」の2台を出品した。

 門形5面加工機「DMU210P」の実加工を見学した県外の経営者は、「加工が本当に早い。もっと詳しい話を聞きたい」と、驚いた様子だった。

【2004年 変革点】

  • 中原製作所 中原社長

 中原製作所はグループ会社を含めた従業員数が115人、18年に創業70周年を迎えた。ローラー製造では「西の中原」として知られた存在だ。本社工場には約100台もの国内有力メーカー製の旋盤、ターニングセンター、研削盤などが並ぶ。

 設備力に加え、シートにシワを作らないように送れる、ローラーの回転バランス調整技術、軽量化と強度アップにつながるパイプ部と軸部の摩擦圧接技術といった技術力があり、この両輪が競争力だ。プライベートショーに訪れていた同業で「東の彦山」と言われる彦山精機(千葉県印西市)の彦山修社長は、「当社の先代から、中原さんとはけんかするな、と言われていた」と一目置く。

 そんな中原製作所は、社会、経済が大きく急速に変わろうとする中、事業継続・拡大に向けた変化対応を進めてきた。00年過ぎまで印刷機用のロール専業だったが、失われた10年を過ぎて日本経済の先行きに不透明感が増し、顧客が大手といえども受託する仕事の将来性に不安が高まった。そこで04年に始めたのが自社固有のローラー製造技術を印刷機だけでなく、食品機械、フィルム製造装置など「あらゆるローラー」(中原社長)へと横展開する「インバウンド戦略」だ。

 さらに16年に、かねて関心のあったDMG森精機の5軸機を初めて導入。産業用ロボットなど部品加工事業を本格的に始め、ローラー以外の機械加工分野の開拓にうって出た。そして18年の創業70周年を機に取り入れたのが、自社技術を内から外に出し、他社の優れた技術と融合させる「アウトバウンド戦略」だ。オープンイノベーションが叫ばれる今、工業団地を1周すれば品物が仕上がった、かつてのような密なクラスターこそが、勝ち残りのカギだとみる。

 5軸機は、少子高齢の社会課題を克服し、高付加価値の部品加工に有用なことなどから、オープンイノベーションの中核的な存在にすえた。プライベートショーなどを通じ、「『これ削れますか?』といった相談からでも、つながりをつくりたい」(中原社長)と話す。以前から地域クラスターの仲間である機械加工会社、切削工具メーカー、切削油メーカーなどと技術を持ちより連携してきた。5軸加工機を中心に、その輪をさらに広げている。

【DMG森精機 5軸加工研究会発足】

 一方、DMG森精機にも危機感がある。世界の製造業は工程集約の流れにあるが、日本での5軸機の同社販売比率は10%強。欧州、米国、中国、アジアはいずれも40%前後と、日本は大きく後れをとる。今後、ますます就労人口は減り、同時に最終製品が高機能なものになり、部品に求められる精度、品質が洗練されるだろう。さらに電気自動車(EV)シフトが鮮明になり、自動車部品でも多品種少量品が増えていけば、これらの要件に適する5軸機が必須になる。ところが、国内金属加工会社の多くは5軸機の操作への不安や3軸機の慣れが障害となり、5軸機を遠く感じているのが現実だ。

 そこでDMG森精機は、18年8月に5軸機の普及と加工技術の向上をユーザーと一緒に目指す「5軸加工研究会」を発足した。国内70社に無償で5軸機「DMU50 3rd Generation」を貸し出した。同社エンジニアが家庭教師として貸出先に出向き、近隣の金属加工会社を集めた教育研修を開いている。

 9月はじめまでに教育研修は400回開かれ、600社が受講した。中原製作所は、5軸加工研究会の70社の1社であり、記念すべき1回目の研修を開いた会社でもある。同社では同じく9月はじめの時点で28回開講し、34社90人が受講した。

 参加企業が実際に5軸加工機を導入した事例も複数出てきた。DMG森精機、さらに中原製作所の願いは実を結びつつある。

(2019/10/14 05:00)

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