(2022/9/15 05:00)
政府が観光需要の喚起に動き出す。日本への入国を制限する水際対策を大幅に緩和し、インバウンド(訪日外国人)需要を取り込むほか、国内旅行を促す「全国旅行支援」を開始することでも調整に入った。医療が逼迫(ひっぱく)するリスクを最小限に抑えるコロナ禍対策に万全を期し、サービス消費の拡大につながることを期待したい。
新規感染者が全国的に減少傾向にあるほか、医療機関・保健所の業務負担を軽減する「(感染者)全数把握」の見直しが26日から全国一律で実施されることが背景にある。これまで医師は感染者全員の氏名・連絡先などを記した発生届を保健所に届け出る必要があったが、対象を高齢者や重症化リスクの高い人に限定する。対象外の感染者は総数と世代の報告だけで済む。医師が医療に専念できる時間が増えるものと評価したい。
政府は水際対策を段階的に緩和してきた。9月7日から1日当たりの入国者数の上限を2万人から5万人に増やし、添乗員を伴わないパッケージツアーの入国も解禁。ワクチン3回接種を前提に入国前のPCR検査も免除している。だが政府が目指す先進7カ国(G7)並みの緩和には程遠い。G7で入国者数に上限があるのは日本だけだ。
現在調整中の緩和策は、入国者数の上限撤廃、個人旅行の受け入れ解禁、短期滞在者のビザ(査証)取得免除などで10月開始を目指す。日本政府観光局によると7月の訪日外国人は14万人強にとどまり、うち観光目的は8000人程度に過ぎない。円安を追い風にインバウンド需要の大幅な拡大につなげたい。
他方、政府は新たな国内旅行喚起策「全国旅行支援」を月内にも開始することも調整中だ。現行の「県民割」の対象地域を全国に拡大した旅行割引・クーポン配布の支援策で、1人1泊最大1万1000円が補助される。ワクチン3回接種または陰性証明が必要で、若者の接種を促す効果にも期待したい。
新たな変異株の出現や“第8波”への懸念は残るものの、感染・医療対策に万全を期し、コロナ共存の歩みを進めたい。
(2022/9/15 05:00)
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