産業春秋/接着剤でクルマをつくる日

(2022/9/30 05:00)

接着技術の進化が楽しみだ。クルマの製造では高強度に部材を組み上げ、廃車時は自在に剝離できるようになれば、軽量化による燃費向上や二酸化炭素の排出削減が図れる。

「接着剤がなぜ、くっつくのか。わかっているようでわかっていない」とは、九州大学工学研究院応用化学部門主幹教授の田中敬二さん。固体に挟まれた接着界面の構造を解明する国家プロジェクトの代表を務める。

接着技術の開発は熟練者の経験と勘が頼り。接着界面の評価や解析の手法が確立されていないためボルトやリベットを代替できる信頼性はない。プロジェクトは5-10年後をめどに次世代接着技術の実用化を目指す。

2016年に地震で大きな被害を受けた熊本城。長塀を支える控石柱も折れたが、文化財の価値を損ねないよう復旧には接着剤が欠かせなかった。熊本城をはじめ多くの城づくりに関わった築城名人の加藤清正も目を丸くしていよう。

9月29日は日本接着剤工業会が制定した「接着の日」。恒例の小学生ポスターコンクールでは1年生の心華さんが描いた熊本城が会長賞に。接着剤が空飛ぶクルマのキーデバイスになる日は来るか。主役を食う名脇役のような存在感を見せてほしい。

(2022/9/30 05:00)

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