社説/岸田首相、インド訪問 グローバルサウスと連携強化を

(2023/3/17 05:00)

岸田文雄首相が19―22日未明の日程でインドを訪れ、モディ首相と会談する。日印の信頼回復を図りつつ、5月開催の先進7カ国(G7)広島サミットへの協力を求めるとみられる。インドは先進国と途上国のつなぎ役を自負しており、G20議長国のインドとの関係深化を国際秩序の確保につなげていきたい。

林芳正外相が国会日程を優先し、インドで2日に開かれたG20外相会合に欠席した。ウクライナ情勢や食料・エネルギーの高騰への対処などを話し合う重要会合で、議長国のインドに不信感を与えた。岸田首相の訪印で信頼を取り戻し、G7・G20の議長国の連携を強化したい。

岸田首相は訪印中にスピーチも行い、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」実現への新たな計画も発表する。南半球の途上国・新興国などで構成する「グローバルサウス」との連携がFOIP実現には不可欠と訴え、新たな支援策を打ち出す見通しだ。航行の安全確保に向けたインフラ整備など、安全保障分野での協力も想定される。西側諸国の同志国拡大の契機となることが期待される。

ただグローバルサウスの取り込みは容易ではない。食糧支援や軍事支援などでロシアに一定程度を依存するアフリカは、国連総会のロシア非難決議などに同調しない国が少なくない。途上国はインフレや気候変動問題、さらに世界の分断を招いたのは先進国で、影響を被ったのは途上国と受け止めている。

世界銀行によると、途上国の債務返済は2022年に前年比35%増の620億ドル(約8・2兆円)に達する。2月開催のG20財務相・中央銀行総裁会議では債務問題への協力で一致しており、中国をはじめ債権国は早急に対応してもらいたい。

インドは1月に途上国・新興国の首脳とのオンライン・サミットを開くなど、グローバルサウスの盟主となることを目指している。グローバルサウスと西側諸国の橋渡し役を自負するインドには、G20議長国としての振る舞いが求められる。日印は連携をさらに強め、国際秩序の確保を主導してもらいたい。

(2023/3/17 05:00)

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