社説/米韓首脳会談 「北抑止」と「対中半導体」を注視

(2023/4/26 05:00)

米韓首脳会談が26日(現地時間)、ワシントンで開かれる。加速する北朝鮮の核・ミサイル開発に対し、米韓は「核の傘」を含む拡大抑止の強化策を協議する見通しだ。また米国の対中半導体規制と整合的な施策を韓国に求めることも想定される。韓国と日本は必ずしも米国と経済面で利害が一致しない。日韓は東アジアの安全保障の確保で米国と強固な関係にあるものの、中国との経済関係を軽視できない。日本と同じ課題を抱える韓国の対応を注視したい。

米政府は韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領を国賓としてホワイトハウスに招く。韓国が3月の日韓首脳会談で元徴用工問題で歩み寄り、関係改善を進めたことをバイデン米政権は評価。尹大統領は北朝鮮への対応で大きな成果を期待している。米国は韓国への揺るぎない防衛義務に言及し、「核の傘」を含む拡大抑止の強化を表明する見通しだ。北朝鮮による韓国への核攻撃を抑止すると同時に、韓国内にくすぶる核武装論を抑えるだけの効果的な声明になると期待したい。

日韓は3月の首脳会談で、韓国が秘密軍事情報を日本と共有する軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を正常化することで合意している。こうした日韓や日米、米韓といった2国間連携にとどまらず、日米韓の結束もさらに強めたい。日米韓は22年11月の首脳会談で北朝鮮の弾道ミサイル情報の即時共有を目指すことで合意している。効果的な体制を早期に整えたい。

他方、米国の対中輸出規制をめぐり、日韓は難しい対応を迫られている。米国は22年10月に対中輸出規制を強化し、先端半導体の製造に必要な装置・技術の輸出を事実上禁止。日本は中国を念頭に先端半導体の製造装置23品目を輸出管理の対象に加え、韓国も今回の米韓首脳会談で米国の政策との整合性を求められる見通しだ。ただ韓国の半導体関連企業は中国に生産拠点を持ち、中国は最大の取引国。韓国企業が米国工場建設で米政府から補助金を受ければ、中国での追加投資もできなくなる。尹大統領がいかに対応するか、日本としても注視したい。

(2023/4/26 05:00)

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