産業春秋／“見えないもの”から見えてくる町工場の誇り

先日「見えない展」を見た。微細・精密加工技術を持つ中小企業１４社が集まった展示会。そこから見えたのは、オンリーワンと胸を張る町工場の心意気だ。

高精度加工でいつまでも滑らかに回り続けるコマ、プラスチックを高精度で透明に仕上げる加工。手に取って説明してくれるが、加工法を聞くと「それは秘密」と手の内は見せない。

顕微鏡やルーペを使わないと見えない機械加工品やバネ、光を当てないとスリットが入っているのが分からない金属板、張り合わせていることがほぼ分からない透過度の高い接着技術。まるで手品を見せられているような感覚になる。

これらの技術は製品として日の目を見ていないものもある。しかし知る人ぞ知るで、同業から「うちでは作れないのでやってくれないか」と注文が舞い込んだりする。オンリーワンの強さだ。

町工場の仕事を目にすることは一般にはほとんどない。しかし、こうした中小企業があって日本のモノづくりの質の高さが保たれていることが垣間見られる。「見えない展」だけに主催者も会場も、会社名も記さなかったが、ネット検索すればすぐにみつかる。この展示会はシリーズで行っており、今から次回が楽しみだ。